バクロフェン

バクロフェンについて

バクロフェンは、GABA作動薬の一種であり、主に痙縮に対応するために処方されます。商品名にはノバルティス製のリオレサールや第一三共製のギャバロンがあります。近年では、その効果がアルコール依存症にも有効である可能性が研究されています。これは、バクロフェンがGABA受容体、特にGABAB受容体に結合し、抑制的に神経伝達を促進するためです。

使用される主な適応症

バクロフェンは以下のような症状に対応しています:

• - 脳血管障害
• - [脳性麻痺]]
• - 痙性脊髄麻痺
• - 脊髄血管障害
• - 頸部脊椎症
• - 後縦靱帯骨化症
• - 多発性硬化症]
• - [筋萎縮性側索硬化症]
• - [[脊髄小脳変性症
• - 外傷後遺症（脊髄損傷、頭部外傷）
• - 脳・脊髄腫瘍の術後後遺症

これらの疾患に起因する重度の痙性麻痺には、バクロフェンの髄腔内持続投与療法が用いられます。この療法は、従来の療法では効果が不十分な場合に実施されます。

髄腔内投与療法

バクロフェンは経口投与では中枢神経系への移行が不十分なため、2006年に承認された髄腔内バクロフェン投与（ITB療法）が広く利用されています。この方法では、埋込み式ポンプを使用して薬剤を直接脊髄腔内に投与します。2007年には小児への適応も認められました。

投与を始めるにあたり、最初に腰椎穿刺を行ってスクリーニングトライアルを行います。この際に少量のバクロフェンを投与し、痙縮が改善されれば、ポンプとカテーテルを埋め込む手術が行われます。ポンプを埋め込んだ後も、流量や薬液の濃度を調整することで、患者の症状に応じた適切な投与が可能です。

アルコール依存症への適応

さらに、バクロフェンは適応外の使用としてアルコール依存症に対する効果が示唆されています。アルコールは側坐核に影響を与え、その細胞外ドパミン濃度を上昇させますが、バクロフェンは腹側被蓋領域のGABAB受容体に作用し、中脳辺縁ドパミン経路を抑制します。このメカニズムにより、アルコール依存症の改善が期待されています。

1年間にわたるオープンラベルの前向き研究では、アルコール依存症患者100名のうち83名が治療完了し、アルコール消費量が中央値106gから18gに有意に減少した（p<0.0001）という結果があります。さらに、44名（53%）が禁酒に成功したとのことです。

まとめ

バクロフェンは、痙縮やアルコール依存症治療において有用な薬剤です。特に、髄腔内投与療法は効果的な治療法として注目されています。臨床的な効果と証拠が積み重なることで、その適用範囲は今後も広がる可能性があるでしょう。

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