GABAB受容体

GABAB受容体について

GABAB受容体（英: GABAB receptor、略称: GABAB、GABABR）は、神経細胞内で重要な働きを持つGタンパク質共役受容体の一種です。この受容体は、伝達物質であるγ-アミノ酪酸（GABA）と結合し、神経の活動を調節します。GABAB受容体は、抑制的なシナプス後電位（IPSP）を生成することで、神経の過分極を促進します。IPSPの逆転電位は-100 mVであり、これはGABAA受容体に比べてかなり強い効果を持っています。このように、GABAB受容体は中枢神経系及び末梢神経系、自律神経系に広く分布しており、重要な役割を果たしています。

機能

GABAB受容体は、特にカリウムチャネルの一種であるGIRKチャネルを介して神経細胞がカリウム平衡電位に近づくのを助け、結果として活動電位の発生頻度を低下させます。これにより神経伝達物質の放出も減少し、神経の興奮が抑制されます。受容体はまた、Gi/Go αサブユニットを介してアデニル酸シクラーゼやカルシウムチャネルの活性を低下させるため、神経系全体における調節機能に寄与しています。このことから、GABAB受容体は神経伝達の抑制に重要な役割を果たしていることが理解できます。さらに、研究ではGABAB受容体がエタノールやγ-ヒドロキシ酪酸（GHB）などの物質による行動に関与していることが示されています。最近の研究動向では、これらの受容体が神経の発生にも重要な役割を持っていることが示唆されています。

構造

GABAB受容体は代謝型グルタミン酸受容体と構造的に類似しており、GABAB1とGABAB2という2つのサブユニットから構成されています。これらのサブユニットは、神経膜上で細胞内のC末端領域が結合することで、必ずヘテロ二量体として機能します。また、哺乳類の脳にはGABAB1という遺伝子から生成される異なるアイソフォーム（GABAB1a、GABAB1b）が存在し、これが受容体の機能の複雑性に寄与しています。GABAB受容体はクライオ電子顕微鏡を用いて多様なコンフォメーションを解析されており、その結果、アロステリックモジュレーターが特定の相互作用面に結合することが確認されています。

リガンド

GABAB受容体のアゴニストには、GABA自身やそのアナログのバクロフェン、γ-ヒドロキシ酪酸（GHB）、フェニブトなどがあります。バクロフェンは筋弛緩薬として利用されている一方で、いくつかのてんかん発作を悪化させる可能性があるため注意が必要です。ポジティブアロステリックモジュレーターとしてはCGP-7930やBHFFなどがあり、これらは受容体の活性を高める役割を果たします。対して、アンタゴニストとしてはホモタウリンやジンセノサイド、サクロフェン等が知られています。

結論

GABAB受容体は、神経情報伝達の調整において重要な役割を持つ機能的かつ構造的な複雑性を有しています。それは、神経細胞のシグナル伝達や発生に深く関与しており、今後の神経科学の研究においても大いに注目される対象となるでしょう。

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