バザード・クーリー隕石

バザード・クーリー隕石：カナダ上空を彩った火球と大規模な隕石回収

2008年11月20日午後5時30分頃、カナダ上空で非常に明るい火球が目撃されました。この火球はアルバータ州、サスカチュワン州、マニトバ州、そしてアメリカ合衆国ノースダコタ州といった広い範囲で観測され、その明るさは満月をはるかに凌駕するものでした。複数の目撃証言と、YouTubeに投稿された動画によってその壮大な様子が記録されています。400人を超える人々がこの天体ショーを目撃し、その衝撃的な光景は多くの人々の記憶に刻まれました。

分析によると、この火球は秒速14キロメートルという高速で地球の大気に突入しました。その質量は推定10トンにも及び、大気圏突入前に複数の破片に分裂していたと考えられています。

火球の落下地点周辺では、大規模な隕石捜索活動が展開されました。隕石の落下地点として推定された20平方キロメートルの地域、特にその南に位置するマースデン村には、多くの隕石ハンターが集結しました。マースデン村の住民からは、火球の目撃情報に加え、衝撃音や異臭に関する報告も寄せられており、この隕石は「マースデン隕石」とも呼ばれています。

カルガリー大学の調査チームは迅速な調査を開始し、2008年11月末までに10個以上の隕石を発見しました。これらの隕石は、最初に隕石破片が発見されたバトルリバーバレーから約2キロメートル離れたバザード・クーリーという地点にちなんで命名され、2009年2月には国際隕石学会に登録されました。

有名なアメリカの隕石ハンター、ロバート・ハーグ氏は、1キログラムを超える隕石に対して1万ドルの購入価格を提示するなど、この隕石への関心の高さを示しました。最終的には、民間人であるアレックス・ミッチェル氏によって発見された13キログラムの隕石を含む、1000個を超える隕石の破片が回収され、その総重量は100キログラムを超えるまでに達しました。

バザード・クーリー隕石は、H4型普通コンドライトに分類されています。この分類は、隕石の鉱物組成や構造に関する情報を提供し、その起源や形成過程に関する重要な手がかりとなります。今回の大規模な隕石回収は、科学的な分析を進める上で貴重な機会となり、太陽系の形成や進化に関する理解を深める上で重要な貢献を果たすものと期待されています。 このイベントは、天文学愛好家のみならず、一般の人々にも宇宙への関心を高めるきっかけとなったと言えるでしょう。今後の研究によって、この隕石からどのような知見が得られるのか、世界中の研究者たちが注目しています。

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