バスコ・ヌーニェス・デ・バルボア

バスコ・ヌーニェス・デ・バルボア

バスコ・ヌーニェス・デ・バルボア（1475年 - 1519年1月21日）は、スペインの探検家であり、植民地政治家です。彼はヨーロッパ人として初めて太平洋に到達したことで歴史に名を刻んでいます。

生涯

バルボアは、スペイン南部のヘレス・デ・ロス・カバリェロスで生まれました。彼は貴族の家柄でしたが、家計は苦しく、1500年に新大陸イスパニョーラ島へ開拓者として渡りました。しかし、経営手腕に欠け、浪費癖もあって借金を重ね、1510年に債権者から逃れるように、カリブ海沿岸のサンタ・マリア・ラ・アンティグア（現在のコロンビアとパナマの国境付近）へ移住しました。

現地では、食糧不足や先住民の襲撃に苦しむスペイン人たちのリーダーとして頭角を現し、ダリエンという新しい植民都市の建設を指揮し、完成後には総督に任命されました。現地のインディオの酋長から、南方に黄金の産地があるという情報を得たバルボアは、1513年9月に190人の探検隊を組織し、その地を目指しました。この探検隊には、後にインカ帝国を征服するフランシスコ・ピサロも副官として参加していました。

先住民の案内でパナマ地峡を横断した探検隊は、9月25日に海に到達しました。バルボアは、この海を「南の海 (El mar del Sur)」と名付けました。この海は後に太平洋として知られるようになります。この探検によって、アメリカ大陸が二つの大洋に面した大陸であることが確認されました。探検隊は黄金を発見できませんでしたが、より南のペルーに黄金郷が存在するという情報を得て、植民地へ帰還しました。

評価

黄金探索は失敗に終わりましたが、バルボアは偉大な探検家として迎えられました。しかし、探検の過程で略奪や虐殺などの残虐行為が行われたため、後世の評価は分かれています。スペイン本国政府は、バルボアのリーダーシップに危惧を抱き、パナマ支配を強化するため、ペドラリアス・ダビラを新しい総督として派遣しました。

バルボアとダビラはそりが合わず、対立を深めていきました。黄金郷探索のためペルーへ向かおうとした矢先の1519年1月、バルボアはダビラに召喚され、かつての部下であったピサロに捕らえられました。彼は反逆罪に問われ、見せしめとして斬首刑に処され、波乱の生涯を終えました。

年譜

1500年: イスパニョーラ島へ開拓者として移住
1510年: サンタ・マリア・ラ・アンティグアへ移住
1513年9月: 黄金探索のため探検開始
1513年9月25日: パナマ地峡を越え太平洋に到達
* 1519年1月: 斬首刑

バルボアの功績と悲劇的な最期は、新大陸の探検と征服の歴史を象徴するものとして、今も語り継がれています。

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