バス・ラピッド・トランジット

バス・ラピッド・トランジット（BRT）について

バス・ラピッド・トランジット（BRT）とは、バスを中心に設計された都市型公共交通システムで、効率的かつ迅速な輸送を実現します。このシステムは、専用の走行空間を持ち、輸送能力や定時性に優れた特徴があります。名前は、英語の「ラピッド・トランジット」に由来しており、都市高速鉄道の概念から発展しました。

概要

BRTの初の導入例は1974年にブラジルのクリチバで開業した統合輸送ネットワークにさかのぼります。その後、コロンビアのボゴタで導入されたTransMilenioなど、数多くの都市でBRTシステムが採用されてきました。2014年時点で、186都市で約4,757キロメートルのBRT路線が運行されており、1日当たりの乗降客数は約3170万人に達しています。特にラテンアメリカでは、ブラジルを中心に多数の路線が展開されており、乗降客数は1970万人とされています。

定義

BRTに関しては正式に定義されたものはありませんが、一般的には専用走行空間に基づいた高速かつ定時性のある公共交通システムと考えられています。これはバス専用道路、バス専用車線、混合交通のいずれにも対応可能なシステムです。アメリカ合衆国の交通開発政策研究所は、BRTシステムに必要な最低限の特徴を設定し、基準を設けています。また、国際公共交通連合（UITP）はBRTに類似した別の概念「BHLS（Bus with High-Level of Service）」を導入しています。

主な特徴

BRTにはいくつかの重要な特徴があります。以下にその内容をまとめます。

バス専用道路

特に、バス専用道路を整備することで、目的地までの所要時間を短縮し、混雑による遅延のリスクを減少させています。

バス専用車線

通常、バス専用車線を設けることで、他の交通に妨げられずに運行することができ、遅延のリスクを最小限に抑えます。

車外運賃徴収

運賃徴収がバス内ではなく、駅で行われるため、乗降時の遅延を防ぎ、サービスの質を向上させます。

交差点での優先方式

交差点ではバスの進行を優先する信号が設定され、渋滞を避ける工夫がなされています。

乗降口の高さ

プラットフォームの高さをバスの床面に合わせることで、乗降が容易になり、特に身体の不自由な方に配慮した設計がされています。

世界のBRT

日本においても複数のBRTシステムが導入されています。国土交通省は、「連節バスやバス専用道を組み合わせた高度なバスシステム」としてBRTを定義しており、様々な都市で導入が進んでいます。

例として

• - 一般道を走行する路線: 名古屋市営バスや福岡市の環状線など、各地での取り組みが進んでいます。これにより、迅速な公共交通が実現しています。
• - 災害時のBRT: 2018年の豪雨の際には、臨時の運行が行われ、渋滞を軽減する役割を果たしました。

結論

BRTは世界中で普及している公共交通システムであり、特に都市の交通問題を解決するための有力な手段となっています。専用のインフラや効率的な運行方法を取り入れることで、より多くの人々に速やかで快適な移動手段を提供し、都市の交通網の改善に寄与しています。

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