バチェラー八重子

バチェラー八重子の生涯と業績

バチェラー八重子（1884年6月13日 - 1962年4月29日）は、アイヌの文化を代表する歌人であり、キリスト教伝道者として知られています。彼女は「バチラー八重子」とも呼ばれるその名は、アイヌ民族の伝統を守り続けた人物の一人です。八重子は北海道伊達町に生まれ、父はアイヌの豪族向井富蔵で、母はフッチセという名前でした。この家庭に生まれた八重子は、幼少期から特別な悲しみと運命を背負うことになります。

彼女が11歳の時、父親が亡くなり、その後はジョン・バチェラーというイギリス人の聖公会宣教師に出会います。彼は八重子の人生に大きな影響を与え、彼女が受洗することを承認しました。13歳で札幌に移り、バチェラーが運営する「アイヌ・ガールズスクール」に通うことで、彼女の教育の道が開かれました。その後、東京の香蘭聖書学校にも進学し、神の教えとともに学問を深めていきました。

1906年には、22歳でバチェラー家の養女となり、ルイザ・バチェラーの養女として新たなスタートを切ることになります。これにより八重子はキリスト教の教えを深く学びながら、聖公会の伝道活動に従事することができるようになりました。1908年には、英国に渡りカンタベリー大主教から伝道師としての任命を受け、その後日本へ戻り、北海道の各地で伝道活動を展開しました。

彼女の詩も注目されることになります。1931年に出版された短歌集『若きウタリに』は、アイヌ文化の伝承や彼女自身の思いを詩にまとめたもので、多くの人々に影響を与えました。この作品はアイヌ文学の重要な一部と見なされています。八重子はまた、バチェラー夫妻の影響を受けつつ、アイヌ民族の歴史や文化の普及にも尽力しました。

晩年には、彼女の愛した養母ルイザが1936年に亡くなり、1940年には養父ジョン・バチェラーも日本を去ることとなります。八重子は、二人の遺品を大切に保管し、自身の生涯を通じて得た知識と信仰を持ち続けました。

1962年、八重子は77歳で京都にて死去しますが、彼女の詩や信仰は今も多くの人々に受け継がれています。彼女の著作は様々な形で再版され、アイヌ文化や文学への理解が深まる一助となっています。彼女の歩んだ道と、その活動と思い出は、今後も多くの人々に語り継がれていくでしょう。

参考文献

• - 佐佐木信綱 編『若きウタリに』竹柏会、1931年。
• - 湯本喜作『アイヌの歌人』洋々社、1963年。
• - 掛川源一郎『バチラー八重子の生涯』北海道出版企画センター、1988年。

もう一度検索