バチカン放送

バチカン放送（Radio Vaticana）

バチカン放送は、ローマ教皇庁によって運営されているカトリック教会の公式ラジオ放送局です。バチカン市国の国営放送であり、カトリックの宗教放送としての役割を担っています。

概要

カトリック教会は世界中に約13億人の信徒を擁しており、バチカン放送は多岐にわたる言語で放送を行っています。国際電気通信連合（ITU）からも「いかなる地理的制約も受けず」に放送することが認められており、その活動はグローバルに展開されています。

放送形態は多岐にわたり、短波、DRM、中波、FM、衛星放送、インターネット放送など、様々な周波数帯と伝送方式を用いています。2020年時点では、約47の言語で放送を実施。番組は世界61カ国以上で活動する200名を超える記者によって制作され、国際ニュース、カトリックの教え、特集番組、音楽番組など、年間でのべ42,000時間もの放送が行われています。

バチカン放送は、教皇庁内の「広報のための部署」が統括しています。また、国際放送に加えて、バチカン市国領内およびローマ市内向けに、イタリアの文化や音楽などを中心としたローカル放送もFMで行っています。

歴史

バチカン放送の歴史は1931年2月12日に始まりました。最初の放送の呼出符号はHVJで、短波2チャンネルのみを使用していました。初回放送では、教皇ピウス11世によるメッセージが放送されました。放送設備の構築には、グリエルモ・マルコーニが関わり、初代放送局長は物理学者のジュゼッペ・ジャンフランチェスキでした。

1933年：バチカン宮殿とガンドルフォ城（教皇の夏の滞在場所）を結ぶマイクロ波伝送路が確立。
1936年：国際電気通信連合（ITU）がバチカン放送を「特別な事例」として認め、地理的制約を受けない放送を許可。
1937年：送信出力が25kWに強化され、指向性アンテナが追加され、放送チャンネル数が10に増加。
1948年：放送言語が18ヶ国語に増加。
1950年：欧州放送連合に加盟。
1952年：イタリア政府が送信施設に治外法権を認可。
1957年：新たな放送センターが運用開始。送信施設が拡充。
2000年代：デジタル放送技術（DRM, T-DAB, T-DMB）を用いた実験放送を開始。ポッドキャストなどの利用も開始。

日本語放送

日本語放送は1959年2月17日に開始されました。当初は受信状態が課題でしたが、送信設備の拡充により改善されました。受信報告を送ると教皇の写真入りカード（ベリカード）が送られることが人気を集めました。

長らく「放送言語の削減は行わない」という方針でしたが、財政難により2001年3月25日に日本語放送は終了しました。

その他

フィリピンのラジオ・ベリタス・アジアとは友好関係にあります。
2001年3月には、送信所からの電波が周辺住民に影響を与えているとして、イタリア政府から出力削減の通告を受けました。

外部リンク

RADIO VATICANA（各国語版）
バチカン放送（日本語版）

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