日本語放送

日本語放送についての概要

日本語放送は、広い意味で日本語による全ての放送を指しますが、狭義には日本国外から日本向けに行われる国際放送を特に指します。ここでは、国際日本語放送の歴史や現状について詳しく説明します。

沿革

草創期

日本語放送の始まりは、1942年に設立されたアメリカのボイス・オブ・アメリカ（VOA）、同年のソビエトのモスクワ放送、1943年に始まったイギリスのBBCワールドサービスにさかのぼります。これらは第二次世界大戦の最中、連合国が当時の敵国であった日本に対する宣伝を目的に行われていました。特に、VOAは日本が空襲を受ける予告も行っており、一般国民が短波放送を受信することは制限されていました。このため、少数の人々がひそかに受信を試み、発覚すれば厳しい処罰が待っていました。

また、アメリカ軍がサイパン島を占拠した際には、中波ラジオでの日本語放送が始まり、日本政府はこれに対抗して妨害電波を発信しました。このように、敵対する国同士との放送の応酬が繰り広げられました。

最盛期

1945年に日本が敗戦した後、短波放送の受信禁止が解除され、VOAは1970年まで日本向けの放送を行っていました。この時期、日本におけるBCL（Broadcasting Listener）ブームが起こり、世界中の国から日本語での放送が始まりました。この流行の中で、小学生や中学生を中心とした若いリスナーたちが、外国語を楽しむ姿が見られました。東西冷戦の影響もあり、社会主義国から西側諸国へのプロパガンダ放送が行われ、宗教団体による放送も存在していました。

衰退期

1980年代以降、東側諸国での改革開放および社会主義政権の崩壊に伴い、宣伝放送は減少し始めました。日本人の海外旅行が容易になり、情報の入手方法が多様化したことも影響して、聴取者数は減少しました。1990年代中頃からのインターネットの普及により、国外放送の重要性が相対的に低下していきました。これにともない、かつての日本向け日本語国際放送の老舗である放送局も多くが放送を終了しました。

現在の日本語放送

現在、日本向け日本語国際放送を行う局は、KBSワールドラジオ（韓国）、台湾国際放送、中国国際放送（CRI）など数えるほど存在しており、特に近隣諸国からの放送が中心となっています。また、オーストラリアやアメリカの一部局も日本語での放送を行っていますが、短波の使用は減少し、インターネット放送が主流となっています。

このように、日本語放送は時代とともに変化を続けており、これからの情報流通の在り方に注目が集まっています。

もう一度検索