バックプレーン

バックプレーンとは

バックプレーンは、複数のコネクタを搭載した回路基板で、各コネクタのピンが相互に接続され、バスを形成しています。このバスを通じて、複数の回路基板を接続し、コンピュータシステムを構成するバックボーンとして機能します。バックプレーンは、ケーブル接続に比べて信頼性が高く、カードの挿抜による機械的な故障のリスクを低減できます。

バックプレーンの歴史と進化

バックプレーンの概念は、パソコン以前の時代から存在し、ミニコンピュータや初期のマイクロコンピュータで利用されていました。例えば、DECのUnibusやS-100バスを使ったシステムがその例です。初期のパーソナルコンピュータ（Apple IIやIBM PCなど）にも拡張カード用のバックプレーンが内蔵されていました。

マザーボードもバックプレーンとしての機能を持ちますが、通常は区別されます。バックプレーンは、それ自体には計算能力がなく、CPUはプラグインのCPUボード上に実装されます。

バックプレーンの種類

バックプレーンは、大きく分けて「パッシブ・バックプレーン」と「アクティブ・バックプレーン」の2種類があります。

• - パッシブ・バックプレーン：

回路を駆動するアクティブなバス要素を持たず、必要な調停回路は全てプラグインされるカード側にあります。システム内に一つしかなくても単一故障点とはみなされません。

• - アクティブ・バックプレーン：

スロット間の信号をバッファリングするチップを搭載しており、より複雑なシステムに対応できます。ただし、故障の可能性がゼロではないため、単一故障点になりうる可能性があります。

インテルのプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータでは、PICMGがバックプレーンのインターフェース規格を提供しています。PICMG 1.0, 1.1, 1.2はISAとPCIをサポートし、1.2ではPCIXもサポート、PICMG 1.3はPCI Expressをサポートしています。

バックプレーンの応用

バックプレーンは、コンピュータシステムの構築だけでなく、様々な分野で利用されています。

• - ストレージ：

複数のハードディスクドライブを単一のディスクアレイコントローラに接続するために、バックプレーンが利用されます。SATAやSASのハードディスクドライブでは、バックプレーンとホストバスアダプタの通信にSGPIOプロトコルが使用されます。

• - シングルボードコンピュータ：

バックプレーンは、CPUなどのコンピュータ機能を実装したシングルボードコンピュータ以外の、最小限の機能を提供します。PICMG 1.3規格のシングルボードコンピュータは、PICMG 1.3バックプレーンに接続可能で、System Host Boardと呼ばれます。

• - ROMの書き込み：

プラグインカードの製造業者は、製品のROMに書き込むためにバックプレーンを使用します。

• - 拡張バックプレーン：

コンピュータのバスをケーブルで拡張し、外部バックプレーンに接続することで、拡張スロットを増やしたり、異なるバスの仕様に対応できます。

ミッドプレーン

ミッドプレーンは、バックプレーンの両面にコネクタがある形態で、両面からカードを挿入できます。大型システムやネットワーク、通信機器で多く利用され、一方の面にはプロセッサカード、もう一方の面にはネットワークカードを実装します。ブレードサーバにもこの形態が利用され、サーバブレードを一方の面から、電源、ネットワークなどの周辺機能やサービスモジュールを裏面から実装します。

まとめ

バックプレーンは、コンピュータシステムの基盤となる重要な部品であり、その種類や応用は多岐にわたります。信頼性の高いシステム構築に不可欠な存在であり、今後もその進化が期待されます。アクティブバックプレーンとパッシブバックプレーンの使い分けは、システムの信頼性や柔軟性を考慮する上で重要です。

関連項目

• - マザーボード

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