バッシニャーナの戦い (1745年)

バッシニャーナの戦い：オーストリア継承戦争における一局面

バッシニャーナの戦いは、1745年9月27日に現在のイタリア・ピエモンテ州バッシニャーナ近郊で繰り広げられた、オーストリア継承戦争における重要な戦闘の一つです。フランスとスペインの連合軍が、サルデーニャ王国とオーストリア軍を打ち破り、戦局に大きな影響を与えました。

戦いの背景

オーストリア継承戦争は、1740年にオーストリア大公国の君主であるカール6世が死去し、その娘であるマリア・テレジアが後を継いだことから始まりました。ヨーロッパ各国は、マリア・テレジアの継承権を巡って対立し、大規模な国際紛争へと発展しました。イタリア半島もその戦場の一つとなり、フランスとスペインは連携してオーストリアとサルデーニャ王国に対抗しました。

戦闘の経過

フランス・スペイン連合軍は、2年間の戦役を経てようやく合流に成功。両軍の連携により、オーストリア軍はピアチェンツァへの撤退を余儀なくされ、サルデーニャ軍は孤立しました。その結果、バッシニャーナにおいて、数的に優位なフランス・スペイン連合軍がサルデーニャ軍を破りました。この勝利により、連合軍はトルトーナ、パルマ、ピアチェンツァといったロンバルディア地方の要衝を次々と占領し、ミラノに迫る勢いを見せました。

しかし、ミラノの防衛を固めるオーストリア軍に対し、サルデーニャ王カルロ・エマヌエーレ3世率いる軍勢は孤立無援となり、連合軍の攻撃に苦戦しました。連合軍は12月にはカザーレとミラノを占領。年末には、マントヴァとミラノの要塞を除き、ロンバルディアの大部分を支配下に置きました。

戦いの影響とその後

バッシニャーナの戦いの勝利は、フランス・スペイン連合軍にとって大きな成果でしたが、その後の戦略的判断が戦局を左右することになります。当初、フランス軍はサルデーニャ王国を完全に屈服させることを目指しましたが、連合軍を率いるガージェ伯爵は、ロンバルディアへの進軍を優先しました。この方針転換により、サルデーニャ王国は降伏を免れ、戦争を継続することになります。

一方、オーストリアはプロイセン王国との間で第二次シュレージエン戦争を終結させ、マクシミリアン・ウリセス・ブロウネ伯爵率いる3万人の軍勢をイタリアに派遣しました。これにより、戦力バランスは大きく変化し、フランスとサルデーニャ王国の交渉は決裂しました。翌1746年のピアチェンツァの戦いにおいて、フランス・スペイン連合軍はオーストリア軍に敗北し、バッシニャーナでの勝利は無意味なものとなりました。

バッシニャーナの戦いは、オーストリア継承戦争における一局面に過ぎませんが、その後の戦局に大きな影響を与えた重要な戦いとして記憶されています。この戦いを契機に、ヨーロッパ各国の思惑が複雑に絡み合い、戦争はさらに長期化していくことになります。

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