バッダーリ経

『バッダーリ経』の概要

『バッダーリ経』（バッダーリきょう、パーリ: Bhaddāli-sutta）は、パーリ仏典の経蔵中部に位置する第65経であり、多くの仏教徒にとって重要な教えを含んでいます。別名として『跋陀利経』や『跋陀和利経』などもあり、これに類似する漢訳の経典として『中阿含経』の第194経「跋陀和利経」が存在します。この経典は、釈迦が比丘バッダーリに対して戒律や僧伽について教えを説く場面が描かれています。

登場人物

• - 釈迦: 仏教の創始者であり、多くの教えを弟子に伝えました。
• - バッダーリ: 比丘の一人で、裕福な家庭に生まれたため、物質的なものに強い欲望を持っている人物です。

場面設定

物語は、釈迦がコーサラ国のサーヴァッティー、特にジェータ林にあるアナータピンディカ園（祇園精舎）に滞在している時のことから始まります。ここで釈迦は、比丘たちに対して一日一食の重要性を説きます。これは、修行者が過度の食事を避け、心を清らかに保つための教えの一部であり、精神的な成長を促すための教えです。

しかし、大食漢であるバッダーリはこの教えに反発し、「こんな少ない量では自分には足りない」と主張します。その後、彼はこの教えに従うことができず、釈迦のもとを離れざるを得なくなります。この場面は、食に対する欲望とそれに伴う試練を象徴的に表しています。

バッダーリの帰還

3ヶ月後、バッダーリは心を入れ替え、釈迦に対して謝罪しに訪れます。釈迦は彼に対し、新たに律と僧伽についての教えを説きます。この教えの中で、指定された規則に従うことの大切さや、仲間と共にいることの意義が強調されます。

バッダーリは釈迦の教えを受け入れ、深く感動し、歓喜するのです。このエピソードは、試練を通じて学び、成長することができるというメッセージを伝えています。

日本語訳

この経典の日本語訳には複数の版本があり、例えば『南伝大蔵経・経蔵・中部経典2』（第10巻）や、『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）中分五十経篇I』が含まれています。また、著名な研究者である中村元が監修した『原始仏典 中部経典2』（第5巻）も、解説や詳細な考察がなされており、特に有用です。

関連項目

• - 戒律（波羅提木叉）: 仏教において信者や修行者が守るべき規則のこと。
• - 僧伽: 仏教僧の集団やコミュニティを指し、共同生活の重要性が示されます。

外部リンク

• - Bhaddālisuttaṃ - Tipitaka.org

この経典は、個々の修行者が戒律を守り、僧伽との絆を大切にすることの重要性を教えており、仏教における倫理観の一端が表れています。釈迦の教えを通じて、深い自己認識と他者との関係についての洞察を得ることができるでしょう。

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