バッド・ジーニアス 危険な天才たち

バッド・ジーニアス 危険な天才たち

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』（タイ語: ฉลาดเกมส์โกง, 英語: Bad Genius）は、2017年に公開されたタイのクライム映画です。ナタウット・プーンピリヤが監督を務め、主演はチュティモン・ジョンジャルーンスックジン。彼女のデビュー作であり、類まれなる頭脳を持つ女子高生リンが、大規模なカンニング計画に巻き込まれていく姿を描いています。

ストーリー

成績優秀なリンは、教師である父と二人暮らし。奨学金を得て名門校に入学した彼女は、成績に悩むグレースと出会い友人となります。グレースの頼みでカンニングを手伝ったリンは、グレースの彼氏であるパットから、報酬と引き換えに他の生徒たちへのカンニング協力を持ちかけられます。最初はためらっていたリンですが、父が学校に賄賂を渡していることを知り、次第に引き受けていきます。

カンニングは次第にエスカレートし、ついには国際的な大学入試STICでの大規模な不正に発展します。リンは、試験が最初に始まるオーストラリアで解答を入手し、送信する計画を立てます。計画には、かつてリンのカンニングを阻んだバンクの協力が必要不可欠でした。貧しい家庭で育ったバンクは、ある事件をきっかけに奨学金の機会を失い、リンの計画に渋々ながらも参加することになります。

リンとバンクは計画を実行に移しますが、予期せぬ事態が次々と発生します。不正が発覚する危険、仲間内の裏切り、そして倫理的な葛藤。リンは、自らの行動がもたらす結果と向き合い、人生を左右する決断を迫られます。

キャスト

リン：チュティモン・ジョンジャルーンスックジン
バンク：チャーノン・サンティナトーンクン
パット：ティーラドン・スパパンピンヨー
グレース：イッサヤー・ホースワン
リンの父：タネート・ワラークンヌクロ

製作

映画の構想は、中国で実際に起こったSAT試験のカンニング事件が元になっています。監督のナタウット・プーンピリヤは、脚本家のタニーダ・ハンタウィーワッタナ、ヴァスドーン・ピヤロムナと共に、徹底的なリサーチを行い、現代のテスト形式やカンニングの手口を脚本に反映させました。脚本完成までには約1年半の歳月が費やされました。

キャスティングでは、リン役のチュティモンをはじめ、主要キャストに経験の浅い若手俳優を起用。彼らの新鮮な演技が、作品にリアリティと緊張感をもたらしています。特に、リンとバンクの関係性の変化や、パットのセールストークなどは、俳優のアドリブによるものが多く、その才能が光っています。

撮影はタイとオーストラリアで行われました。シドニーでの撮影は、時間的な制約が多く、困難を極めたと言われています。ナタウット監督は、70年代のスリラー映画から影響を受け、古めかしいスタイルを作品に取り入れています。

公開と評価

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』は、タイで公開されると、2週連続で興行収入ランキング1位を獲得。1億バーツを超える大ヒットを記録し、2017年のタイ映画ランキング1位となりました。また、ニューヨーク・アジアン映画祭のオープニング作品に選出され、Best Feature awardを受賞するなど、国際的にも高い評価を得ています。

批評家からは、その斬新なコンセプトとスリリングな展開、そしてタイの教育制度や社会の不平等さを鋭く批判する視点が絶賛されました。主演のチュティモンとタネートの演技、そして脚本と編集も高く評価されています。

受賞

ニューヨーク・アジアン映画祭 Best Feature award
* ニューヨーク・アジアン映画祭 Screen International Rising Star Asia award（チュティモン・ジョンジャルーンスックジン）

『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』は、単なるエンターテイメント作品としてだけでなく、社会的なメッセージ性を持つ作品としても高く評価されています。ぜひご覧ください。

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