バッハ作品主題目録番号

バッハ作品目録（BWV）

バッハ作品目録、正式には「Thematisch-systematisches Verzeichnis der musikalischen Werke von Johann Sebastian Bach」と呼ばれ、1940年代にヴォルフガング・シュミーダーによって編纂されました。この目録は、バッハの音楽作品を整理し、特定の番号を付与することを目的としています。一般的にBWV（Bach Werke Verzeichnis）と略され、バッハ作品番号やシュミーダー番号とも称されます。

BWV番号の特徴

BWV番号は他の作曲家の作品番号とは異なり、作曲順ではなく、作品のジャンルごとに体系的に分類されています。このアプローチにより、各作品を誤りなく識別しやすくすることが可能となり、音楽研究や出版、演奏時の曲名紹介など多くの場面で利用されています。ただし、バッハ自身の曲集の順序に基づいていないため、時には慣習的な引用の際に混乱を招くこともあります。

初版では、具体的に次のように番号が振られています：

• - BWV 1 - 231: カンタータやモテット
• - BWV 232 - 243: ミサ
• - BWV 244 - 249: オラトリオ
• - BWV 250 - 524: コラールや歌曲
• - BWV 525 - 771: オルガン曲
• - BWV 772 - 994: 鍵盤楽器の作品
• - BWV 995 - 1000: リュート曲
• - BWV 1001 - 1040: 室内楽
• - BWV 1041 - 1065: 協奏曲
• - BWV 1066 - 1071: 管弦楽曲
• - BWV 1072 - 1080: 演奏形態の指定がない作品
• - BWV Anh. 1 - 189: 補遺

これらの番号の付け方には、ジャンル別に整理するという目的があるため、時間の流れに沿った作曲の順序に依存することはありません。演奏日時の不明確さや頻繁な修正（特にオルガン作品に見られる）によって、どの作品も厳密に年代順に整理することは困難です。

編纂の経緯と改訂

BWVは1950年に初版が発表され、その後多くの新発見や研究が続きました。初版は1940年代の既存の文献を基に作成され、その後50年の間に発見された新作品も含まれるようになりました。バッハの没後200年の節目に公表されたため、後に発見された情報や作品の成立時期、真贋鑑定などの新たな研究結果は反映されていないという課題がありました。このため、1990年に改訂された第二版が発行され、作品番号はBWV 1120に、補遺もBWV Anh. 205に増編されました。

作品の細分類

さらに、BWVの番号は単にジャンルで分けられているだけでなく、各ジャンル内でも詳細に分類されています。例えば、鍵盤楽器の作品は以下のように細かくカテゴライズされています:

• - BWV 772 - 805: 練習曲
• - BWV 806 - 833: 組曲
• - BWV 834 - 845: 舞曲
• - BWV 846 - 909: 前奏曲とフーガ

このように分類されていることは、便宜上は役立つものの、同じテーマの作品が異なるカテゴリに振り分けられることもあり、この点が難点とされることもあります。

結論として、バッハ作品目録は、バッハの音楽を理解し、研究する上で極めて重要な資料であり、今後も多くの音楽愛好者や研究者に利用されることでしょう。

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