バッフィントン島の戦い

バッフィントン島の戦い：モーガン襲撃の終焉

バッフィントン島の戦い（Battle of Buffington Island）は、南北戦争中の1863年7月19日に、オハイオ州メグズ郡で起こった戦闘です。この戦いは、南軍のジョン・ハント・モーガン准将率いる騎兵襲撃隊が、オハイオ川を渡って北軍の追跡を逃れようとした際に発生しました。結果的に、南軍は壊走し、多数の兵士が捕虜となるなど、モーガン襲撃の終焉に繋がる重要な戦いとなりました。

背景：モーガン襲撃の開始

1863年6月11日、モーガン准将は2460名の騎兵と騎馬砲兵隊を率いてテネシー州を出発しました。目的は、北軍オハイオ軍の注意をそらし、その間に南軍が有利な状況を作り出すことでした。モーガン隊はケンタッキー州を経由してインディアナ州に侵入し、コリドンの戦いで地元の民兵隊を破りました。その後、オハイオ州南部へと進撃し、各地で物資を強奪しました。

北軍は直ちに対応を開始し、オハイオ軍のアンブローズ・バーンサイド少将は、陸軍と海軍の砲艦を投入しました。エドワード・H・ホブソン准将は騎兵隊を率いてモーガン隊を追跡し、オハイオ州知事デイビッド・トッドは民兵を動員して防衛体制を強化しました。

7月18日、モーガンは部隊を再編し、ポメロイの近くでオハイオ川を渡ろうとしましたが、失敗しました。そこで、約32km上流にあるバッフィントン島付近の浅瀬を目指しました。しかし、到着した場所には地元民兵が待ち構えており、さらに濃霧と暗闇のため、モーガンはそこで夜を明かすことになりました。この遅れが、後の壊滅的な結果を招くことになります。

海軍の関与：フィッチの戦隊

アメリカ海軍ミシシッピ戦隊のレロイ・フィッチ少佐は、装甲艦を含む艦隊を率いてモーガン隊を追跡しました。フィッチの戦隊は、モーガン隊が川を渡って逃走するのを阻止するために、オハイオ川を封鎖しました。戦隊には、USSムースなどの鉄製装甲艦や、私掠船が含まれていました。

特にUSSムースは、戦闘前夜にバッフィントン島の至近に停泊し、戦闘開始時に砲撃を開始しました。また、USSアレゲニーベルは、バーンサイド将軍の「水陸共同歩兵隊」を運び、戦闘に参加しました。さらに、ウェストバージニア川沿いには、第9ウェストバージニア歩兵連隊が配備され、南軍の渡河を阻止しました。川を渡ろうとした南軍兵士の中には、溺死する者もおり、多くの馬も失われました。海軍は捕虜の収容や物資の輸送にも重要な役割を果たしました。

戦闘：南軍の壊走

7月19日の朝、北軍のカウツとジュダ両旅団がモーガン隊に追いつき、シャックルフォード隊も到着し、南軍はほぼ包囲されました。北軍の砲撃と、数の優位性により、モーガン隊は圧倒されました。初期の戦闘で北軍のダニエル・マクック少佐が致命傷を負いました。北軍の砲艦も加わり、モーガン隊に砲弾を浴びせました。

モーガン隊はバッフィントン島への道を塞がれ、北へ逃れようとしましたが、北軍の包囲を突破することはできませんでした。激しい戦闘の中、多くの南軍兵が戦死・負傷し、約750名以上が捕虜となりました。モーガン自身は、約700名の兵士と共に逃走に成功しましたが、後に捕獲されることになります。モーガンの副官であるバジル・W・デューク大佐や、弟のジョン・モーガンも捕虜となりました。

戦闘後：モーガン隊の終焉

モーガン隊の一部は、ウェストバージニア州ベルビル対岸でオハイオ川を渡ることに成功しましたが、大多数は捕獲されました。捕虜となった兵士たちは、シンシナティに送られ、モーガンと士官たちはコロンバスのオハイオ刑務所に収監されました。モーガンはその後脱獄に成功しますが、襲撃部隊は事実上壊滅しました。

バッフィントン島の戦いは、モーガン襲撃の終焉を決定づける戦いとなりました。この戦いは、南軍の騎兵隊が大規模な襲撃を成功させることが困難であることを示し、戦争の流れを変える重要な出来事となりました。

まとめ

バッフィントン島の戦いは、南北戦争における重要な転換点の一つです。南軍のモーガン襲撃隊は、この戦いで壊滅的な打撃を受け、その後の戦局に大きな影響を与えました。この戦いは、北軍の組織的な対応と、海軍の支援の重要性を示すものであり、南北戦争の戦術における教訓として後世に伝えられています。

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