バッラータ

バッラータ（ballata, 複数形：ballate）は、13世紀後期から15世紀にかけてイタリアで用いられた詩形、楽式です。

概要

バッラータは、最初と最後のスタンツァが同じテキストを持つ「AbbaA」という音楽的構造を特徴とします。この構造は、フランスの三大定型詩の一つであるヴィルレー（virelai）と非常によく似ています（バラードとは異なります）。各部分の名称は以下の通りです。

A：ripreza（リプレーザ、反復句）
b：piedi（ピエディ、脚）
* a：volta（ヴォルタ、転換）

長いバッラータは「AbbaAbbaA...」のように繰り返されます。

ヴィルレーとの違いは、通常、2つの「b」が全く同じ音楽を持っている点です。ただし、後期バッラータに限っては、2通りのエンディング（開・閉）を持つものも存在します（元来フランス由来）。

「ballata」という言葉は、動詞「ballare」（踊る）に由来し、ダンス音楽として始まったと考えられています。

トレチェント音楽におけるバッラータ

バッラータは、イタリア版「アルス・ノーヴァ」として知られるトレチェント時代（14世紀）の重要な世俗音楽形式の一つでした。ジョヴァンニ・ボッカッチョの『デカメロン（十日物語）』では、各日の終わりにバッラータが歌われました（現存する曲はロレンツォ・ダ・フィレンツェのもののみ）。

初期のバッラータは、ロッシ写本（Rossi Codex）に見られるように、主にモノフォニー（単旋律）でしたが、後に2声または3声のバッラータも現れました。

主要な作曲家

14世紀後半の作曲家フランチェスコ・ランディーニは、バッラータの作曲家として特に有名です。その他には、ランディーニと同時代のアンドレア・ダ・フィレンツェ（Andrea da Firenze）、バルトリーノ・ダ・パドヴァ（Bartolino da Padova）、ヨハンネス・チコーニア、ザッカーラ・ダ・テーラモなどが挙げられます。15世紀には、アルノルド・ド・ランタンやギヨーム・デュファイもバッラータを作曲しましたが、彼らがバッラータを作曲した最後の世代となりました。

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