バドリテ

バドリテ（Gbadolite）

バドリテは、コンゴ民主共和国の北ウバンギ州に位置する都市で、2004年の時点での人口は113,807人です。この街は、中央アフリカ共和国との国境を形成するウバンギ川から南へおよそ12kmの地点に立地しています。

歴史的背景

もともとバドリテは1970年代までは静かな農村でありましたが、独裁者モブツ・セセ・セコの母親の故郷であったことから、彼の強い意向でこの地域は大きく発展しました。モブツは数多くの資金を注ぎ込み、バドリテに王宮を建設、そして周囲のインフラを整備しました。これにより、バドリテは単なる村から重要な都市へと変貌を遂げました。

「ジャングルのヴェルサイユ」とも称されるバドリテ宮殿は、贅を尽くした3つの宮殿が密林の中に建設され、ウバンギ川にダムが造られたことにより、安定した電力供給が実現しました。また、モブツの政権下では、国際空港も建設され、ここでは大統領専用機が離着陸していました。

モブツはバドリテを拠点にし、しばしば指令を出す形態をとっていました。そのため、閣僚や側近もこの地に邸宅を構えるようになり、周囲には高校や総合病院が建設されて、治安維持を行う大統領警護隊によって守られた特別な場所となりました。

政治的変遷

しかし、バドリテの運命が変わるのは1997年のことでした。反政府軍のリーダーであるローラン・カビラが首都キンシャサに迫ると、モブツは全財産を持ってこの地に逃げ込むことを決意します。ここで彼は一時的に反攻を試みましたが、最終的には断念し、モロッコのラバトへ亡命する運命を辿ることとなりました。モブツの逃避後、バドリテは新政府に支配されることとなりました。

その後、1998年にはウガンダに支持される反政府組織MLCがこの地区を制圧し、その指導者ジャンピエール・ベンバはバドリテを本拠地にしてカビラに対抗しました。

現在の状況

2010年の時点では、モブツ時代に建設された宮殿は略奪に遭い、廃墟として残されています。そのため、現在のバドリテは歴史的な遺産と共に記憶される都市となっています。

バドリテはその奇妙な歴史から、今後も国や地域における記憶を人々に語りかけ続けることでしょう。

もう一度検索