ババ・オライリィ

ババ・オライリィ：ザ・フーの不朽の名曲

ザ・フーの代表曲として知られる「ババ・オライリィ」は、1971年発表のアルバム『フーズ・ネクスト』に収録された楽曲です。作詞・作曲はピート・タウンゼントが担当。プログレッシブなサウンドとテクノポップの要素を融合させたこの曲は、ローリングストーン誌の選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500（2021年版）において159位にランクインするなど、高い評価を受けています。

複雑な生い立ちと革新的なサウンド

「ババ・オライリィ」は、A.R.P.シンセサイザーを効果的に使用した、当時としては非常に革新的な楽曲でした。タイトルは、インドの導師ミハー・ババとアメリカの作曲家テリー・ライリーに由来しており、タウンゼント自身のスピリチュアルな探求が反映されています。

この曲は、当初はタウンゼントが構想していたロックオペラ『ライフハウス』のために制作されました。しかし、『ライフハウス』プロジェクトの中止により、『フーズ・ネクスト』に収録されることになります。そのため、アルバムに収録されているバージョンは、本来の構想とは異なる部分もあると言えるでしょう。

楽曲の特徴として、印象的なシンセサイザーの音色と、キース・ムーンのアイデアにより加えられたエンディングのヴァイオリンソロが挙げられます。このヴァイオリンソロは、隣接スタジオに居合わせたプログレッシブロックバンド、イースト・オブ・エデンのヴァイオリニスト、デイヴ・アーバスが演奏を担当しました。

多様なヴァージョンと関連作品

「ババ・オライリィ」は、様々なヴァージョンが存在します。タウンゼントは『ライフハウス』制作中に作成したデモ音源を2000年に『ライフハウス・クロニクルズ』として発表しています。そこには「ババ・オライリィ」のデモバージョンや、歌詞や構成が異なる「Teenage Wasteland」などが収録されています。また、初期のインストゥルメンタルバージョンは、1972年にユニヴァーサル・スピリチュアル・リーグがリリースしたチャリティーアルバムにも収録されています。更に、デモバージョンの一部は、タウンゼントのソロアルバム『サイコデリリクト』にも使用されています。これら多様なバージョンを通して楽曲の進化と、タウンゼントのクリエイティブな過程を垣間見ることができます。

ライブパフォーマンスとメディアでの使用例

「ババ・オライリィ」は、ザ・フーのライブパフォーマンスにおいても定番曲となっています。複雑なシンセサイザーパートの再現が困難だったため、ステージではテープで演奏されたシンセサイザーパートに合わせて演奏が行われました。また、エンディングのヴァイオリンソロは、ロジャー・ダルトリーによるハーモニカソロに置き換えられることもありました。2012年のロンドンオリンピック閉会式でも演奏され、そのパフォーマンスは大きな話題を呼びました。

この曲は、アメリカではシングルカットされませんでしたが、様々なメディアで頻繁に使用され、高い知名度を獲得しています。ディズニー映画『バグズ・ライフ』の予告編、アメリカのテレビドラマシリーズ『CSI:ニューヨーク』のオープニングテーマ曲、映画『ガール・ネクスト・ドア』や『バイオハザードV リトリビューション』の予告編など、幅広い作品で使用されており、その人気と影響力の大きさを示しています。

まとめ

「ババ・オライリィ」は、革新的なサウンド、複雑な制作背景、そして幅広いメディアへの使用例など、多くの魅力を持つ楽曲です。その音楽的な価値はもちろん、ザ・フーの歴史や、ロック音楽史における位置づけも重要な要素であり、今後も多くのリスナーを魅了し続けることでしょう。

もう一度検索