バフムート

バフムート（Бахмут）

バフムートは、ウクライナのドネツィク州に属する都市であり、近年多くの歴史的変遷を経てきました。ロシア連邦のドネツク人民共和国の支配下にあるものの、国際的にはウクライナの領域として認識されています。この都市は「アルチョモフスク」としても知られ、1924年から2016年までの間、ウクライナ語では「アルテーミウシク」と呼ばれていました。

地理と人口

バフムートは、バフムートカ川の河岸に位置し、その面積は約74平方キロメートルです。2011年のデータによると、ここには78,251人の住民がいて、人口密度は約1057人/km²です。交通アクセスも良好で、首都キエフからの直線距離は578キロメートルですが、鉄道や車道を利用するとそれぞれ789キロメートル、672キロメートルかかります。州庁所在地までは直線距離で67キロメートル、鉄道では89キロメートル、車道では93キロメートルです。

歴史的背景

バフムートの町は、1571年にロシアのイワン雷帝の命によって設立されました。当初は、クリミア・タタール人の侵入を防ぐための要塞として機能していましたが、19世紀には岩塩の採掘が主要な産業となりました。この地名は、ムスリムのクリミア・タタール人の名前、「マフムード」に由来していると考えられています。

1924年、バフムートは共産主義者フョードル・セルゲイエフの名にちなんで「アルチョモフスク」と改名されました。第二次世界大戦中にはドイツに占領され、多くのユダヤ人が虐殺される悲劇もありました。そして第二次世界大戦後には、シベリア抑留を受けた日本人捕虜が強制労働に従事するためにこの町に送られてきました。

近年では、ユーロマイダンの結果、2016年にこの地域の名称が元の「バフムート」に戻されました。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻においては、バフムートを巡る戦闘が続き、都市は甚大な被害を受けました。激しい戦闘の結果、2023年初頭までに住民の約90%が避難する事態に至っています。

2023年5月21日、日本時間でのニュースによると、ロシアの民間軍事組織ワグネルがバフムートを完全に掌握したと発表しました。これに先立ちウクライナ軍は困難な状況にあり、戦況は非常に緊迫しています。2日後の5月23日には、アメリカのシンクタンクがロシア軍が市の西部に到達したと分析を発表しました。その後、ロシア側は市の名称を「アルチョモフスク」に戻すと発表しました。

バフムートは、その歴史的背景と最近の戦闘による影響から注目される地域であり、国際的な関心も集めています。

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