バミューダ・ハンドレッド方面作戦

バミューダ・ハンドレッド方面作戦

バミューダ・ハンドレッド方面作戦は、南北戦争中の1864年5月に、バージニア州リッチモンド郊外のバミューダ・ハンドレッド周辺で発生した一連の戦闘を指します。この作戦は、北軍のベンジャミン・バトラー少将率いるジェームズ軍が、南軍のP・G・T・ボーリガード将軍の軍隊と激突したものです。

背景

1864年3月、ユリシーズ・グラントが北軍全体の指揮官に任命され、南北戦争の戦略は大きく転換しました。グラントは、複数の戦線で同時多発的に攻撃を仕掛ける協調戦略を採用し、その一環としてバトラーにはリッチモンドへの攻撃が命じられました。バトラーの任務は、ジェームズ川を経由してリッチモンドの北西から侵攻し、南軍の補給線を遮断することでした。直接的な首都占領ではなく、ロバート・E・リー軍を分散させることを狙いとしていました。

バトラーは政治家出身の将軍であり、その軍事的な能力には疑問符が付いていました。グラントは、バトラーの弱点を補うため、クィンシー・A・ギルモアとウィリアム・F・スミスという2人の有力な部下を配備しましたが、結果的にバトラーの経験不足を完全にカバーすることはできませんでした。作戦の舞台となったバミューダ・ハンドレッドは、アポマトックス川とジェームズ川の合流点に位置する小さな村で、リッチモンドとピーターズバーグの中間に位置していました。

戦闘の経過

5月5日、バトラー軍はバミューダ・ハンドレッドに上陸し、作戦を開始しました。同時期にグラントとリーの間では荒野の戦いが繰り広げられていました。バトラーはピーターズバーグへの脅威を作る動きも見せ、一時的に有利な状況を作ろうとしました。対するボーリガードは、ノースカロライナとサウスカロライナ方面軍からの寄せ集め部隊、約18,000名を率いていました。この部隊は、年齢層も若年者から高齢者まで様々で、戦力としては劣勢でした。

バミューダ・ハンドレッド方面作戦では、以下の主要な戦闘が発生しました。

ポート・ウォルトホール・ジャンクションの戦い (5月6-7日): 北軍は鉄道の要衝であるポート・ウォルトホール・ジャンクションを攻撃し、一時的に鉄道を遮断しましたが、南軍はスウィフトラン・クリークに撤退し、再編成を図りました。
スウィフト・クリークの戦い (5月9日): 北軍はピーターズバーグへ進撃する際に、スウィフト・クリークで南軍のジョンソン師団と交戦しました。南軍の攻撃は撃退されましたが、北軍も決定的な追撃には至りませんでした。
チェスター・ステーションの戦い (5月10日): 南軍はチェスター・ステーションで鉄道を破壊していた北軍の一部に対して威力偵察を行い、北軍はバミューダ・ハンドレッドの塹壕まで後退しました。
プロクターズ・クリークの戦い (5月12-16日): バトラー軍はドルーリーズ・ブラフの南軍戦線へ攻撃を仕掛けましたが、砲艦の支援が得られなかったため、再度防御姿勢に転じました。13日には北軍が南軍の一部を突破しましたが、バトラーの慎重な姿勢によりボーリガードは軍を再集結させることができました。16日には南軍が反撃し、北軍を敗走させました。この戦いの後、バトラーのリッチモンドへの攻勢は事実上終焉を迎えました。
ウェアボトム教会の戦い (5月20日): ボーリガードはウェアボトム教会付近でバトラー軍を攻撃し、北軍の前哨線を後退させ、ハウレット戦線を構築して北軍をバミューダ・ハンドレッドに閉じ込めました。

戦闘の結果とその後

バミューダ・ハンドレッド方面作戦は、バトラーの指揮能力の欠如により、北軍にとって大きな失敗に終わりました。バトラー軍はバミューダ・ハンドレッドに閉じ込められ、動けなくなりました。一時的に南軍を釘付けにはしたものの、ボーリガードはプロクターズ・クリークとウェアボトム教会の勝利後、リー軍に援軍を送ることができ、結果としてコールドハーバーの戦いでの南軍の戦力維持に貢献しました。グラントは、この作戦の失敗について、バトラーの指揮能力を厳しく批判しました。

その後、バトラー軍はピーターズバーグ包囲戦に投入されました。この作戦の失敗は、北軍の戦略に大きな影響を与え、グラントの慎重な作戦立案を促すこととなりました。

関連項目

南北戦争
東部戦線 (南北戦争)
オーバーランド方面作戦

参考文献

National Park Service battle descriptions
Grant, Ulysses S., Personal Memoirs of U. S. Grant, Charles L. Webster & Company, 1885–86, ISBN 0-914427-67-9.

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