バラデューク

バラデューク



『バラデューク』は、1985年7月にナムコ（現：バンダイナムコアミューズメント）がアーケードゲームとして稼働を開始したアクションシューティング作品です。海外では『ALIEN SECTOR』として知られています。

概要



本作は「ブキミが気持ちいい！」という印象的なキャッチフレーズを掲げ、当時の子供向け・ライトユーザー向けゲームが主流だった市場に対し、大人や熱心なゲームファン層へ向けた挑戦的なアプローチを行った作品です。その異質な世界観やビジュアルイメージは、デザインやプロモーションにおいても徹底され、ナムコ社内だけでなく、当時の国内アーケードゲームシーンでも異彩を放っていました。

家庭用ゲーム機への移植は、稼働から10年以上を経た1997年まで実現しませんでした。

主人公である「ファイター」には、当初、特定の個人設定は存在せず、1P側は「KISSY」、2P側は「TAKKY」という名称で区別されていました。しかし、後にKISSYは同社の人気シリーズ『ミスタードリラー』に「トビ・マスヨ」という名前で登場し、さらに『ディグダグ』の主人公ホリ・タイゾウの妻という設定が追加されることで、稼働から長い年月を経て正式なキャラクター設定が付与されることになります。

ストーリー



物語は、平和な種族「パケット族」が発したSOS信号を宇宙辺境警備隊がキャッチしたことから始まります。信号の発信源は、地下深くに築かれた謎めいた要塞「バラデューク」。そこを支配していたのは、邪悪な生命体「オクティ族」でした。

プレイヤーは、宇宙辺境警備隊の中でも屈指の腕を持つ隊員「ファイター」となり、オクティ族に虐げられているパケット族を救出するため、単身バラデューク要塞へと挑みます。

ゲームシステム



基本操作とライフ



プレイヤーは8方向レバーで主人公を操作し、ボタンで「波動ガン」を発射して敵と戦います。波動ガンは主人公が向いている左右方向にしか撃てません。

ゲーム開始時、主人公のシールド（ライフ）上限は2目盛です。敵や敵の攻撃に触れるとシールドが減少し、全て失うと残機を一つ失います。シールド上限が3以上の状態で残機を失った場合、上限は1目盛減少します。各フロアをクリアすると、シールドは現在の進行度における上限まで回復します。

本作のシールド制ライフシステムの特徴は、ダメージを受けた際の無敵時間が存在しない点にあります。このため、立て続けに攻撃を受けるとシールドが短時間でゼロになりやすく、シビアなゲームプレイを要求されます。

波動ガンを発射する際にはわずかな反動があり、主人公は後方へ少し押し戻されます。また、緩やかな重力が存在し、足場のない場所で静止しているとゆっくりと下降しますが、敵キャラクターやパケットの多くはこの重力の影響を受けません。

フロア構成とアイテム



ゲームは全8ステージで構成されており、各ステージは6つのフロアに分かれているため、合計48フロアが存在します。

  • - 第1〜第4フロア: 多数のモンスターが出現する「オクティ・フロア」。
  • - 第5フロア: 出現する敵が少なく、ボーナス要素のある「カプセル・フロア」。
  • - 第6フロア: 強大なボスとの一騎打ちとなる「グレート・オクティ・フロア」。

フロア内のオクティを全て倒すと、次フロアへの入口が出現します。一部のフロアでは複数の入口が開く場合があり、どちらを選ぶかで次のフロアの開始位置や攻略ルートが変化します。また、高次のフロアではオクティが初期状態で透明になっていることもあります。第5フロアは敵がほとんどいないため、最初から入口が開いています。

オクティを倒すと「カプセル」が出現することがあります。カプセルからは、救出対象の「パケット」、得点アイテムの「ジュエル」、「パワー波動ガン」（波動ガンが1段階強化される）、または敵キャラクターの「バガン」のいずれかが出現します。何も入っていなかったり、カプセル自体が出現しない場合もあります。パワー波動ガンは最大3段階まで強化できますが、ダメージを受ける度に1段階ずつパワーダウンします。パケットを8体所持した状態でカプセルを開けると、必ずパワー波動ガンが出現するという特典があります。

パケットについて



パケットはゲームクリアに不可欠な存在です。次のフロアに進む直前、パケットを所持しているか、シールド上限が3目盛以上の場合はボーナスルーレットに挑戦できます。ルーレットのマスは「パケット」「N（何もなし）」「オクティ」の3種類。パケットマスに止まるとシールド上限が1つ増加、Nは変化なし、オクティマスに止まるとシールド上限が1つ減少します（上限3以上時のみオクティマスが出現）。所持しているパケットが多いほどパケットマスが増え、シールド上限が高いほどオクティマスが増える傾向があります。ルーレットでシールド上限が増加した場合、所持パケット数はゼロにリセットされます。パケットを所持していなくても、シールド上限が3以上あればルーレット（Nとオクティのみ）は発生します。

ボス戦にパケットを連れて臨むと、パケットが一定時間ごとにボスに体当たりし、一時的にボスの動きを止めてくれます。そのため、ボス直前のルーレットで敢えてシールド増加を狙わず、パケットを温存するという戦略も有効です。ボス撃破後にはルーレットはなく、残ったパケットは次のステージへ持ち越されます。

一方で、波動ガンでパケットを誤って（あるいは意図的に）射殺することも可能です。パケットを10匹殺すと開発スタッフをモデルにした隠しキャラ「KISSY」が、20匹殺すと「TAKKY」が出現し、数発撃ち込むと高得点（1万点/2万点）が得られます。しかし、パケットを殺してしまうと所持数がゼロになるため、シールド上限を増加させる機会を失うという大きなデメリットがあります。

その他の要素



  • - 特定のステージで特定の敵を倒すと、一度だけ画面上部からランダムな隠しキャラクターが降ってくることがあります。
  • - 画面上の敵を長時間放置すると、以降の敵出現頻度が増加する性質があります。
  • - エフィラやブルースナイパーなど、一部の敵には本体に触れてもダメージを受けない（当たり判定がない）タイプが存在します。
  • - ゲーム中に通常流れるBGMはなく、代わりに心臓の鼓動のような効果音が続きます。ダメージを受けてシールドが減少すると、心拍数が上がったかのように音のテンポが速くなります。

敵キャラクター



バラデューク要塞には、オクティ族とその眷属、そして様々な異形の生命体や装置が登場します。

オクティ族



要塞の支配者である邪悪な種族。幼生から成体、そして王まで多様な姿を見せます。

  • - ブラヌラ/スキフラ: オクティから放出されるクラゲ状の第1幼生。ブラヌラは体当たり、スキフラは弾も吐きます。
  • - エフィラ: 第1幼生が天井に付着し成長した第2幼生。視界に入ったファイターに弾を吐きますが、本体に当たり判定はありません。
  • - ギリィ・オクティ: 最も一般的なオクティ。直接攻撃せず、幼生を放出します。
  • - ウインキー・オクティ: 横向きの一ツ目オクティ。視界に入ると弾を吐き、倒されて復活すると向きが変わります。
  • - チューイング・オクティ: 正面向きの一ツ目オクティ。一度に3発の弾を吐く、一般オクティ中最高の攻撃力。
  • - ドロッピング・オクティ: 弾を吐きつつ、伸び縮みして波動ガンを避ける能力を持ちます。
  • - シェル・オクティ: ウインキー・オクティに似ていますが、背面に強固な甲殻を持ち、後方からの攻撃を防ぎます。
  • - フィニー・オクティ: 出現頻度が低い一般オクティ。1発ずつ弾を撃ちます。

グレート・オクティ



各ステージの最終フロアに出現する巨大なオクティ族。

  • - ブルー・ウォーム: フロア6、18、30に登場するイモムシ型ボス。4つの目から無数の弾をばら撒きながら左へ進みます。
  • - ターニング・アイ: フロア12、24、36、42に出現する球形ボス。眼窩を往復する巨大な単眼が弱点で、単眼の動きに合わせて高速弾「毒素」や通常弾を放ちます。個体によって移動パターンが異なります。
  • - オクティ・キング: フロア48の最終ボス。口から3連弾を吐き、目玉を撃つと一時的に攻撃を封じられますが、目玉を破壊するだけでは倒せません。

その他の敵



  • - バガン: カプセルから出現するパックマン状の敵。体当たり攻撃で、重力で斜めに落下します。2発で倒せますが、画面外に出すことも可能です。
  • - モラモラ: 青い魚のような敵。体当たりで、高速または低速で画面を横切ります。
  • - ポリケーター: 天井から突然出現し、主人公の縦軸を察知して落下体当たりします。主人公の向き側に出やすい性質があります。
  • - スクイド: 横から飛来し、近づくと弾を吐いて高速で逃走します。
  • - リープ・バガン: バガンの卵とされる敵。体当たり攻撃で、高速かつ予測不能な動きをします。
  • - テレポ: オクティのサイコキネシスによる攻撃の産物。青い発光体が出現し、弾を転送して消えます。主人公の背後側に出やすいです。
  • - マッスル・ブレイン: 浮遊するピンク色の肉塊。移動は非常に遅く体当たりのみですが、高い耐久力を持ちます。
  • - ケルカリア: モラモラに似ていますが、頭部が硬殻で無効化されており、尻尾を狙う必要があります。
  • - キョーター: ダンベル型の敵。画面外周を弧を描いて飛び、断続的に弾を吐きます。
  • - バガン・スポアー: 宇宙から飛来した粒子とされる小さな物体。画面上から斜め下に高速で飛び去ります。
  • - ブルー・スパーク: 永久パターン防止キャラ。入り口出現後や長時間の滞在で出現。高速でトリッキーな動きをし、2発で倒せますが困難です。
  • - ブルー・スナイパー: ブルー・スパークと同じく永久パターン防止キャラ。洗脳されたファイターの成れの果てで、波動ガンとシールドを持ち、2発当てないと倒せません。体格やフェイスの違いで3種類おり、最強タイプは「コアラ」と呼ばれます。
  • - ヤマモ: フロア31にのみ出現する幽霊のような敵。体当たり攻撃で、リープ・バガン以上に激しい動きをします。

移植作品



アーケード版稼働後、本作は様々なプラットフォームに移植されています。


関連作品・項目



  • - 爆突機銃艇: 1988年に登場した本作の続編です。
  • - ミスタードリラー: 主人公ホリ・ススムの母親であるトビ・マスヨが、かつて本作の主人公KISSYであったという設定が加えられています。
  • - NAMCO x CAPCOM: バンダイナムコゲームスとカプコンのクロスオーバー作品。トビ・マスヨがプレイヤーキャラクターとして登場し、一部のオクティ族が敵として出現します。
  • - テイルズ オブ エクシリア2: 主要キャラクターのエルのカバンがパケットのデザインをしており、主人公のマスコットがぶら下がっています。
  • - UGSF: ナムコ作品における共通世界観設定。
  • - メトロイドシリーズ: 他社の人気シリーズ。レトロゲーム専門誌で、世界観や主人公が女性という点が本作と類似しているとして関連付けられたことがあります。

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