バラトプル王国

バラトプル王国

バラトプル王国は、1722年から1947年まで北インドのバラトプル地方に存在したヒンドゥー王朝です。当初の首都はディーグでしたが、後にバラトプルへと遷都されました。この王国は、ジャート族の抵抗運動から誕生し、その歴史は激動に満ちています。

歴史

バラトプル王国の起源は、17世紀後半にムガル帝国に対して反乱を起こしたジャート族の指導者、ゴークラーに遡ります。彼はマトゥラーを中心に反乱を起こしましたが、鎮圧され、処刑されました。しかし、彼の意志はラージャ・ラームに引き継がれ、ゲリラ戦術と略奪を繰り返してムガル帝国を悩ませました。アウラングゼーブ帝は軍を派遣しましたが、ジャート族の抵抗は激しく、廟を略奪するなどの行為に出ました。

ラージャ・ラームの死後、ジャート族はチューラーマンに率いられ、抵抗を続けました。アウラングゼーブ帝の死後、後継者たちはチューラーマンと手を結びましたが、1721年にチューラーマンが暗殺されます。その後、バダン・シングが指導者となり、1722年にアンベール王ジャイ・シング2世によって独立した支配者として認められました。これにより、バラトプル王国が正式に成立しました。

バダン・シングの後を継いだスーラジ・マルは、首都をバラトプルに移し、領土拡大に努めました。彼の治世下で王国は最盛期を迎え、広大な地域を支配下に置きました。しかし、1763年にローヒラー族との戦いでスーラジ・マルが戦死し、王国は徐々に分裂へと向かいます。

1803年、第二次マラーター戦争でバラトプル王国はマラーター側に加担しました。1805年、イギリス軍に包囲されるも、激しい抵抗により撃退に成功します。しかし、同年にイギリスと軍事保護条約を締結し、藩王国としてイギリスに従属することになりました。1947年のインド・パキスタン分離独立時には、インドに帰属し、その歴史に幕を閉じました。

バラトプル王国の特徴

バラトプル王国は、ジャート族の抵抗精神の象徴とも言える存在でした。ムガル帝国やイギリスといった強大な勢力に対しても屈することなく、独自の文化と領土を守り抜きました。その歴史は、インドにおける地方勢力の興亡を語る上で重要な事例です。

王国は最盛期に、現在のハリヤーナー州南部を含む広大な地域を支配しました。首都バラトプルは、軍事的な拠点としてだけでなく、文化的な中心地としても栄えました。

バラトプル王国は、その成立から消滅まで、激動の時代を生き抜いた王国でした。その歴史は、インドの多様性と複雑さを物語る重要な一例です。

関連項目

バラトプル
ジャート

参考文献

フランシス・ロビンソン 著、月森左知 訳『ムガル皇帝歴代誌 インド、イラン、中央アジアのイスラーム諸王国の興亡（1206 - 1925）』創元社、2009年。
サティーシュ・チャンドラ 著、小名康之、長島弘 訳『中世インドの歴史』山川出版社、2001年。

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