バラ・オロナウルタイ

バラ・オロナウルタイ（モンゴル語: Bala Oronaurtai, 中国語: 巴剌斡羅納児台）は、13世紀初頭にモンゴル帝国に仕えたオロナウル部出身の千人隊長です。『元朝秘史』などの漢文史料では巴剌斡羅納児台(bālàwòluónàértái)と記されています。

生涯

『元朝秘史』によると、1206年のモンゴル帝国建国時に千人隊長に任ぜられ、功臣表では35位に列せられています。これは、彼の帝国に対する貢献が非常に大きかったことを示唆しています。

同名の千人隊長にバラ・チェルビという人物がいたため、「オロナウルタイ」という名前はこのバラ・チェルビと区別するために付けられたと考えられています。当時のモンゴル社会では、同姓同名の人物が珍しくなかったため、出身部族名などを加えて区別することが一般的でした。

バラ・オロナウルタイ自身の事蹟については、史料が乏しく、詳しいことはほとんど分かっていません。しかし、「元統癸酉進士録」には、山東濮州の万人隊長買閭の祖先が「オロナウル人の八郎(バラ)」で、「千戸(千人隊長)であった」と記されており、この「八郎」こそがバラ・オロナウルタイのことであると考えられています。もしそうであれば、彼の子孫は山東地方に定住し、勢力を拡大していった可能性があります。

史料における記述

バラ・オロナウルタイに関する主な史料は以下の通りです。

元朝秘史: モンゴル帝国の成立過程を記した最重要史料の一つ。バラ・オロナウルタイが千人隊長に任じられたことが記されています。
元統癸酉進士録: 元代の進士に関する記録。バラ・オロナウルタイの子孫に関する記述が含まれています。

まとめ

バラ・オロナウルタイは、モンゴル帝国建国初期に活躍した千人隊長であり、オロナウル部という部族の出身でした。彼の生涯は謎に包まれていますが、帝国への貢献は大きく、子孫は山東地方で勢力を持ったと考えられています。今後の研究によって、彼の事蹟がより明らかになることが期待されます。

参考文献
志茂碩敏『モンゴル帝国史研究 正篇』東京大学出版会、2013年
村上正二訳注『モンゴル秘史 2巻』平凡社、1972年

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