バリー・ワーズワース

バリー・ワーズワース

バリー・ワーズワース（Barry Wordsworth, 1948年2月20日 - ）は、イギリス出身の著名な指揮者であり、特にバレエ音楽の分野でその名を知られています。

経歴

イングランド南東部のサリー州ウスターパーク（現在はサットン・ロンドン特別区の一部）で生まれたワーズワースは、幼少の頃から音楽に親しみ、王立音楽院で指揮をエイドリアン・ボールトに、チェンバロをグスタフ・レオンハルトに師事しました。マルタンのチェンバロ協奏曲を演奏し、音楽家としてのキャリアをスタートさせました。

1973年にはロイヤル・バレエ団のツアー同行オーケストラで副指揮者を務め、翌年にはサドラーズ・ウェルズ・ロイヤル・バレエ団（現バーミンガム・ロイヤル・バレエ団）の首席指揮者に就任。その後、1989年にはブライトン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、そしてBBCコンサート・オーケストラの首席指揮者、2006年からは桂冠指揮者を歴任しました。1990年から1995年まではロイヤル・バレエ団の音楽監督を務め、2007年に再び同職に就任。また、2005年から2008年までバーミンガム・ロイヤル・バレエ団の音楽監督を務めるなど、イギリス国内の主要なオーケストラやバレエ団で重要な役割を果たしてきました。さらに、イギリス各地のオーケストラへ客演指揮者として登場しています。

1993年には、BBCプロムス最終夜（The Last Night of the Proms）で指揮を務め、その才能を広く知らしめました。また、パリ・オペラ座バレエ団の「マノン」を指揮したり、2002年には東京の新国立劇場バレエにも客演するなど、国際的な舞台でも活躍しています。ロンドン交響楽団を指揮し、ブリン・ターフェルと共演したアルバム「シンプル・ギフト」は、2007年の第49回グラミー賞を受賞しました。

ワーズワースは、音楽家としての活動だけでなく、教育分野にも貢献しており、ブライトン大学、バーミンガム市立大学から名誉博士号を授与されています。2006年にはトリニティ音楽院の名誉研究員（Honorary Fellow）に任じられました。

評価

メーシーサイド学生オーケストラで指揮者を務めていたサイモン・ラトルは、事務局長のエドワード・スミスとともに、1970年から1972年にかけて指揮者によるセミナーを実施していました。ワーズワースは1972年にこのセミナーに参加し、ハワード・ウィリアムズ、ティム・レイニッシュ、コリン・マシューズ、マーク・エルダー、ジェイムズ・ジャッド、アントニー・ボーモントらと共に、スミスから「良質なメンバー」と評されました。

音楽評論家の平林直哉は、ワーズワースについて「派手さはないが、常に高水準の演奏を維持している逸材」と評しており、彼の音楽に対する真摯な姿勢と卓越した能力を高く評価しています。

参考文献

大谷隆夫編『ONTOMO MOOK 最新 世界の指揮者名盤866』音楽之友社、2010年、ISBN 978-4-276-96193-7。
ニコラス・ケニヨン『サイモン・ラトル ベルリン・フィルへの軌跡』山田真一訳、音楽之友社、2002年、ISBN 4-276-21785-7。

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