バルデヨフ

バルデヨフは、スロバキア東部のプレショフ県に位置する歴史的な都市で、その起源は13世紀に遡ります。この街は、古くから温泉地として知られ、その効能は腫瘍、血流、消化器系の症状に効果があるとされてきました。郊外には古い温泉複合施設が残っており、民俗建築の野外博物館として公開されています。

歴史的建造物と市街地の景観

バルデヨフの中心部は、中世の面影を色濃く残す歴史的な建造物で溢れています。1247年に創建された聖アエギディウス教会は、多様な礼拝堂を持ち、3つの本堂を備えたバシリカ様式で、15世紀には11の翼状祭壇が加えられ、ゴシック様式の特徴を色濃く示しています。市庁舎広場は、中世に市場が開かれた場所で、現在ではゴシック様式やルネサンス様式の美しい住宅に囲まれています。また、18世紀に建てられたシナゴーグを中心とするユダヤ人地区には、コーシャーの食肉処理場、浴場、集会所などが集まっており、独特の雰囲気を醸し出しています。市庁舎は1505年に建てられ、下層部はゴシック様式、上層部はルネサンス様式という、異なる時代の建築様式が融合した美しい建物です。さらに、14世紀から15世紀にかけて築かれた要塞の遺構は、中世の城郭都市の姿を今に伝える貴重な文化遺産として、ヨーロッパ文化遺産基金に登録されています。

バルデヨフの歴史

バルデヨフという地名が文献に初めて登場したのは1240年代のことです。当時の記録には、バルデヨフ出身の聖職者がハンガリー王ベーラ4世に、プレショフとの境界を巡って訴えたという記述があります。14世紀には要塞化が進められ、ポーランドとの交易拠点として発展し、50以上の商業組合が組織されました。1376年には王立都市の地位を与えられ、その後自由都市として繁栄しましたが、16世紀以降は戦乱や疫病の影響で衰退しました。しかし、第二次世界大戦後、1950年にチェコスロバキア政府によって都市環境保全地域に指定され、社会主義時代には重工業の拠点として発展しました。1986年にはヨーロッパ文化遺産基金に登録され、2000年にはユネスコの世界遺産に登録されました。

人口構成と宗教

2005年の調査によると、バルデヨフの人口は約33,374人で、2001年の調査では住民の91.3％がスロバキア人、2.6％がロマ人、2.5％がルシン人、1.4％がウクライナ人とされています。宗教に関しては、カトリック教会が63.2％、スロバキア東方典礼カトリック教会が16.9％、ルーテル教会が7.6％となっています。

世界遺産としての価値

バルデヨフは、以下の2つの登録基準を満たしていることから、ユネスコの世界遺産に登録されています。

基準(3): 現存する、または消滅した文化的伝統や文明の、唯一または稀な証拠であること。バルデヨフは、中世の都市計画や建築様式を現代に伝える貴重な例です。
基準(4): 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例であること。バルデヨフの市街地は、中世の城郭都市の姿をよく残しており、歴史的建造物群はその時代を象徴する貴重な遺産です。

姉妹都市

バルデヨフは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

スレムスキ・カルロヴツィ（セルビア）
マヒリョウ（ベラルーシ）
カシュテラ（クロアチア）
クリニツァ＝ズドルイ（ポーランド）
ヤスウォ（ポーランド）
ゴルリツェ（ポーランド）
ザモシチ（ポーランド）
ミクロフ（チェコ）
チェスカー・リーパ（チェコ）
プルジェロフ（チェコ）
モルデ（ノルウェー）
カレー（フランス）
* アシュタビューラ（アメリカ合衆国）

バルデヨフは、その豊かな歴史と文化遺産、そして美しい自然が調和した魅力的な都市です。訪れる人々を魅了するこの街は、中世の面影を今に伝える貴重な場所として、これからも大切に守り続けられることでしょう。

もう一度検索