バロア症

バロア症について

バロア症は、世界中のミツバチに影響を及ぼす寄生虫病で、ミツバチヘギイタダニ（Varroa destructor または Varroa jacobsoni）による吸血が原因となっています。この病気は、日本においても家畜伝染病予防法で届出伝染病に指定されており、対象動物はミツバチとされています。日本獣医学会の提言により、法的名称は「バロア病」から「バロア症」に変更されました。

バロア症の特徴

ミツバチヘギイタダニは、かつてはトウヨウミツバチに寄生していたものであり、トウヨウミツバチに対しては病原性が弱いものの、セイヨウミツバチに対しては非常に強い病原性を示します。このダニは、ミツバチの幼虫の成長を阻害し、死亡を引き起こすことがあります。特に蛹期における吸血が問題であり、奇形の翅や肢が形成されることがあります。また、羽化時には翅の伸長不良が見られることもあります。ダニが蛹の体表で増殖することにより、さらに症状が深刻化します。

感染拡大の要因

この病気の感染拡大にはいくつかの要因が考えられます。寄生されたミツバチが他の巣に迷い込むことや、巣を盗まれることが、感染拡大の主な原因として挙げられています。このため、養蜂家は特に注意を払う必要があります。

予防策と抵抗性

バロア症の予防には、ピレスロイド系の殺ダニ剤が効果的で、その中でもフルバリネート製剤が使用されています。しかし、海外ではこの防除用薬剤に対して耐性を示すダニが報告されており、予防策には限界が存在します。このため、地域ごとの密な監視や適切な管理が求められています。

文献と関連項目

バロア症に関するさらなる詳細は、清水悠紀臣らの編纂した『動物の感染症 = Infectious diseases of animals』や、ミツバチ科学に関する情報を提供する玉川大学の資料を参照することができます。また、バロア病に関する法律的な情報は、届出情報として提供されています。

まとめ

バロア症はミツバチにとって非常に深刻な病気であり、特にセイヨウミツバチにおいてその影響は大きいものです。寄生虫による吸血が原因で幼虫や蛹が健全に育たず、その結果としてミツバチの個体数の減少を引き起こします。予防策としての薬剤利用は行われていますが、抵抗性の問題もあり、今後の研究と対策が求められる状況です。

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