バングラデシュ独立戦争

バングラデシュ独立戦争

バングラデシュ独立戦争は、1971年3月26日に東パキスタン（現在のバングラデシュ）で勃発した、独立を求める戦争です。この戦争は、東パキスタンがパキスタンからの独立を果たす上で、非常に重要な出来事となりました。

戦争の背景

1947年のインド・パキスタン分離独立によって、東ベンガル地域は東パキスタンとしてパキスタンの一部となりました。しかし、東パキスタンは人口の過半数を占めていたにも関わらず、政治的・経済的な支配は西パキスタンに偏っていました。また、言語面でも東パキスタンではベンガル語が用いられていましたが、中央政府はウルドゥー語を公用語としようとしました。こうした状況が、東パキスタン住民の不満を増大させる要因となりました。

1952年には、ベンガル語を公用語として認めることを求めるベンガル語国語化運動が起こりました。この運動は、東パキスタンの住民たちの民族意識を高めるきっかけとなりました。1960年代には、西パキスタンによる搾取や、政治的抑圧に対する不満が高まり、各地で暴動が発生しました。1966年には、東パキスタンの自治権拡大を求める6点運動が展開され、1969年には大規模な蜂起が起こり、パキスタンのアユーブ・ハーン大統領を失脚に追い込みました。また、この蜂起によって、ベンガル人の指導者であったシェイク・ムジブル・ラフマンとその同僚が釈放されました。

1970年に行われたパキスタン国民議会選挙では、ムジブル・ラフマン率いるアワミ連盟が東パキスタンで圧倒的な勝利を収めました。しかし、西パキスタンの支配層は、アワミ連盟への政権委譲を拒否し、東パキスタン住民の不満は頂点に達しました。

1971年3月7日、ムジブル・ラフマンは群衆を前に、中央政府への非協力を宣言しました。これに対し、パキスタン政府は軍を派遣し、武力弾圧を開始しました。

戦争の勃発と展開

1971年3月26日、パキスタン軍は東パキスタンへの攻撃を開始しました。これに対し、東パキスタンは独立を宣言し、バングラデシュ独立戦争が始まりました。パキスタン軍による虐殺や弾圧は激化し、多くの東パキスタン住民が隣国インドへ難民として逃れました。

難民の流入は、インドの社会問題となり、またインドはパキスタンとの関係が悪化していたため、同年12月3日にインド軍がバングラデシュ解放戦争に介入しました。インド軍の参戦により、パキスタン軍は劣勢となり、12月16日には降伏しました。これにより、東パキスタンはバングラデシュ人民共和国として独立を達成しました。

戦後

バングラデシュ独立戦争は、多くの犠牲者を出し、社会に深い傷跡を残しました。戦後、バングラデシュは国家建設に向けて様々な課題に取り組んできました。しかし、今もなお、難民問題や政治的な混乱など、多くの問題を抱えています。2013年には、戦争犯罪でイスラム協会の幹部であったアブドゥル・カデル・モッラに死刑が執行されました。また、インドでは不法移民の問題が深刻化しており、バングラデシュ独立戦争時の難民とその子孫が対象となるなど、国境を越えた問題が依然として続いています。

関連書籍

Conway, M. A.; Haque, S.. Overshadowing the reminiscence bump: Memories of a struggle for independence. Journal of Adult Development. 6, (1). pp. 35-44

関連項目

1970年のボーラ・サイクロン

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