バンコク・エアウェイズ

バンコクエアウェイズ：ブティックエアラインの先駆け

バンコクエアウェイズは、タイを拠点とする航空会社で、国内リゾート地や近隣諸国への旅客輸送を中心に事業を展開しています。その前身は1968年に設立されたサハコン・エアで、当初は石油・天然ガス調査団体のチャーター便サービスを提供していました。1986年に国内定期旅客便の運航を開始し、2004年には「アジアのブティックエアライン」というコンセプトを掲げ、高級なサービスを提供することで他社との差別化を図る戦略を打ち出しました。

ブティックエアラインとしての差別化戦略

バンコクエアウェイズは、ブティックラウンジ、ブティック空港、魅力的な食事、最新機材、フレンドリーで高級なサービスなど、全てのカテゴリーにおいてフルサービスを提供することで、LCC（格安航空会社）との差別化を図っています。2006年からはタイ国際航空とのコードシェアを開始し、観光路線であるバンコク - シェムリアップ間を独占的に運航していた時期もありましたが、2012年以降はカンボジア・アンコール航空も同区間に就航しています。

歴史と展開

2007年には、バンコク・ドゥシット・メディカル・サービシーズの創業者であるプラサート・プラサートーンオーソット氏がCEOに就任しました。2008年にはカンボジア国内線であるシェムリアップ - プノンペン線にも就航しましたが、2009年にカンボジア・アンコール航空が新規就航したことで同区間から撤退しました。2012年からはフィンランド航空とのコードシェアを開始し、バンコク発着の主要路線を中心に提携を強化しています。

就航地

2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの定期便が運休、減便、経路変更を余儀なくされています。しかし、主要な観光地への路線は維持されており、今後の回復が期待されています。

日本路線

2005年には広島、2006年には福岡に運航を開始しましたが、リーマンショックやLCCとの価格競争により、2008年から2009年にかけて撤退しました。現在でも日本への運航許可権は保持しており、チャーター便での飛来実績があります。また、日本航空とのコードシェアも実施しており、東京/羽田・東京/成田・大阪/関西 - バンコク/スワンナプーム線で提携しています。さらに、2014年からはコードシェアの範囲を拡大し、バンコク発着のプーケット、チェンマイ、サムイなどの主要路線や、ヤンゴン、プノンペン、シェムリアップなど近隣諸国への路線も対象となっています。

サービスの特徴

バンコクエアウェイズは、2004年に発表した「アジアのブティックエアライン」というコンセプトに基づき、独自のサービスを展開しています。ブティックラウンジやブティック空港など、顧客体験を重視したサービスが特徴です。

私有空港

バンコクエアウェイズの大きな特徴の一つとして、自社所有の空港があります。これらの空港は「ブティック空港」と呼ばれ、自然や文化に溶け込むように設計されています。

サムイ空港：1989年に開港したオープンエアの茅葺きターミナルが特徴で、サムイ島の雰囲気に調和しています。この空港からの定期便運航開始が、同社の本格的な成長のきっかけとなりました。運賃は高めに設定されていますが、多くの観光客に利用されています。
スコータイ空港：1996年に開港し、穏やかな水田の中に位置しています。伝統的なタイの建築様式を反映した設計が特徴です。
トラート空港：2003年に開港し、周囲の自然環境を活かした設計となっています。これらの空港は基本的にバンコクエアウェイズの独占使用となっていますが、観光業界からの要望により、一部の空港ではタイ国際航空も乗り入れています。

ラウンジ

バンコクエアウェイズでは、以下のラウンジを提供しています。

ブルーリボンクラブ：ビジネスクラス専用ラウンジで、スワンナプーム国際空港、チェンマイ空港、サムイ空港、プーケット国際空港で利用可能です。
ブティックラウンジ：エコノミークラスでも利用可能なラウンジで、スワンナプーム国際空港、チェンマイ空港、プーケット国際空港で利用可能です。
Courtesy Corner / Kiosk：出発ロビーにて軽食や飲料を配布しており、スコータイ空港、サムイ空港、トラート空港で利用可能です。

マイレージ

Flyer Bonus プログラムでは、自社便の利用のほか、日本航空、キャセイパシフィック航空、カタール航空、エミレーツ航空、カンタス航空との提携を通じてマイレージを貯めることができます。

機材

現在の運航機材は以下の通りです。

エアバス A320型機：2機
エアバス A319型機：10機
ATR 72-600型機：9機

バンコクエアウェイズは特別塗装が多い航空会社で、一部の機材にはサムイ、スコータイ、アンコールワットなどの名称が付けられ、各地にちなんだ塗装が施されています。

退役済機材

過去には、以下の機材が使用されていました。

デ・ハビランド・カナダ DHC-8
フォッカー100
ボーイング 717-200

事故

2009年には、クラビー発サムイ島行きの便が着陸時にオーバーランし、旧管制塔に衝突する事故が発生しました。この事故で機長が死亡し、副操縦士と乗客6名が負傷しました。

まとめ

バンコクエアウェイズは、独自のブティックコンセプトとフルサービスキャリアとしての差別化戦略により、タイの航空業界において独自の地位を築いています。自社空港の運営や、多様なサービス、提携航空会社との連携を強みとし、今後の成長が期待されます。

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