バンコク・メトロ

バンコク・メトロ（MRT）

バンコク・メトロは、タイの首都バンコクおよびその周辺地域を結ぶ都市高速鉄道網です。正式名称はMRT（Mass Rapid Transit）で、タイ大量高速輸送公社（MRTA）によって建設が進められています。バンコクの慢性的な交通渋滞の緩和、都市環境の改善、そして経済発展への貢献を目的としています。

概要

MRTは、国営のタイ高速度交通公社（MRTA）が路線の建設と施設保有を行い、民間企業が運営を行う上下分離方式を採用しています。

運営会社

各路線は、以下の運営会社によって運営されています。

バンコク・エクスプレスウェイ・アンド・メトロ（BEM）: ブルーライン、パープルライン
イースタン・バンコク・モノレール（EBM）: イエローライン
ノーザン・バンコク・モノレール（NBM）: ピンクライン

車両

ブルーライン、パープルライン：軌間は1,435mmの標準軌で、直流750Vによる第三軌条集電方式を採用。最高時速は80km/hです。
イエローライン、ピンクライン：アルヴェーグ式モノレールで、ボンバルディア社のInnovia Monorail 300が導入されており、無人運転です。こちらも最高時速は80km/hです。

駅

洪水対策として、地下駅では出入口に上り階段が設けられ、地上から一段高い位置から地下へ降りる構造になっています。高架駅でも、出入口と直結したエスカレーターやエレベーターは階段やスロープを介して接続されています。

セキュリティ対策として、コンコース階ではゲート式の金属探知機と係員による目視チェックが行われます。特に、ブルーラインの初期開業区間では、改札外通路の通行にもセキュリティチェックが必要です。自動券売機はタッチパネル式で、トークン（またはICカード）を購入し、改札機で利用します。現在では、プリペイド式ICカード「MRTカード」や「メンムムカード」も利用可能です。イエローラインとピンクラインでは、ラビットカードや非接触決済も利用できます。

駅のエスカレーターとエレベーターは三菱電機製です。パープルラインは全駅島式ホーム、ブルーラインは相対式または島式、イエローラインとピンクラインは全駅相対式ホームです。高架駅では可動式ホーム柵が、地下駅ではフルスクリーンタイプのホームドアが採用されています。

パープルラインの各駅には個室の公衆トイレが設置されていますが、ブルーラインの駅には基本的に公衆トイレはありません。ただし、係員に申し出れば職員用トイレを借りることができます。駅構内での写真・動画撮影、喫煙、飲食（メトロモールを除く）、座り込み、ゴミのポイ捨てなどは禁止されています。

営業時間・ダイヤ

ブルーライン：6時から24時まで運行。基本は7分間隔、ラッシュ時は4分間隔。
パープルライン：平日は5時30分から、土日祝日は6時から24時頃まで運行。基本は9分間隔、ラッシュ時は6分間隔。
イエローライン：6時から24時まで運行。基本は10分間隔、ラッシュ時は5分間隔。

運賃

ブルーラインとパープルラインはタオプーン駅で接続しており、通し運賃が適用されます。全線乗り通しの運賃は70バーツです。ブルーラインとパープルラインの運賃は乗車距離に応じて17～42バーツ、イエローライン、ピンクラインは15～45バーツです。子供、高齢者、学生には割引制度があります。

1日乗車券の設定はありません。

タイ高速度交通公社（MRTA）

MRTAは、タイ国内の公共交通路線の計画、建設、所有を行う国営企業です。1992年に首都圏高速交通公社として設立され、2000年に現在の名称に変更されました。

歴史

2004年 7月3日：ブルーライン、バーンスー駅 - フワランポーン駅が開業。
2016年8月6日：パープルライン、クローンバーンパイ駅 - タオプーン駅が開業。
2017年8月11日：ブルーライン、タオプーン駅 - バーンスー駅が開業（パープルラインと接続）。
2019年 12月23日：ブルーライン全線開通。
2020年3月30日：ブルーライン全区間正式開業（運賃徴収開始）。
2023年7月3日：イエローライン全区間正式開業。
2023年12月18日：ピンクライン本線全区間正式開業予定。

路線

ブルーライン（チャルーム・ラチャモンコン線）

環状運転を行っており、タープラ - バーンスー - タオプーン - フワランポーン - タープラ - ラックソーンというルートを通っています。車両基地は2箇所にあります。

パープルライン（チャローン・ラチャタム線）

全区間が高架で、全駅島式ホームです。ブルーラインとの接続により利用者が増加しています。車両基地はクローンバーンパイ駅の東側にあります。

イエローライン

全区間が高架で、全駅相対式ホームです。イースタン・バンコク・モノレールが運営しています。車両基地はシーイアム駅の東側にあります。

ピンクライン

ノーザン・バンコク・モノレールが運営しています。インパクト・ムアントーンターニーへの支線も計画されています。

オレンジライン

建設中の新線で、部分開業を目指しています。車両基地はラーマ9世駅付近のブルーライン基地に隣接しています。

事故

2005年 1月17日、タイ文化センター駅で追突事故が発生し、約100人の乗客が負傷しました。その後、約2週間営業を停止し、2月1日に復旧しました。

その他

交通渋滞対策として、ラートプラオ駅、タイ文化センター駅、シーイアム駅、クローンバーンパイ駅には駐車場が設けられています。

スクムウィット駅にはメトロモールというショッピングモールがあり、飲食も可能です。

延伸計画

ブルーライン、パープルラインともに延伸計画があります。

その他、以下の路線の計画や建設が進められています。

ブラウンライン
グレーライン
ライトブルーライン
プーケットLRT
チェンマイLRT
ナコーンラーチャシーマーLRT
ピッサヌロークLRT
コーンケーンLRT

外部リンク

Mass Rapid Transit Authority of Thailand (MRTA)
Bangkok Expressway and Metro (BEM)
BTS Group Holdings (BTSG)
MRT Yellow Line - Eastern Bangkok Monorail (EBM)
MRT Pink Line - Northern Bangkok Monorail (NBM)

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