バーキング・アンド・ダゲナム区

バーキング・アンド・ダゲナム：ロンドンの活気あふれる東部地区

ロンドン北東部、ロンドン中心部から東へ約14kmに位置するバーキング・アンド・ダゲナム区は、歴史と現代が融合する魅力的な地域です。1965年、バーキング区とダゲナム区の合併によって誕生したこの区は、アウター・ロンドンを構成する32区の1つとして、独自の個性と活気を持ち合わせています。

歴史：産業発展と変遷

バーキング・アンド・ダゲナムの歴史は、古くから農業や漁業が盛んだった時代から始まります。しかし、19世紀以降は産業革命の影響を受け、大きな変貌を遂げます。特に、ダゲナムにおけるフォード工場の建設は、この地域の発展に大きな役割を果たしました。自動車産業や製薬産業の進出により、人口は急増し、多くの住宅が建設されました。戦間期には、ロンドン州議会による大規模な住宅開発が実施され、スラムからの脱却を目指した取り組みが行われました。その後、1980年代には産業構造の変化により雇用の中心がサービス産業へと移行していきました。近年は、工場跡地の再開発などにより、再び人口増加が見られています。

地理：ロム川とロディング川に挟まれた立地

バーキング・アンド・ダゲナム区は、東にヘイヴァリング区、西にニューアム区、南にテムズ川を挟んでベクスリー区とグリニッジ区と接しています。ロム川とロディング川が、区の境界をなす自然のランドマークとなっています。北側はレッドブリッジ区とヘイヴァリング区に挟まれた、独特の形状をしています。

地域構成：多様なエリアの集積

バーキング・アンド・ダゲナム区は、バーキング、ダゲナム、ベコントリー、ベコントリー・ヒース、チャドウェル・ヒース、クリークマウス、ラッシュ・グリーンといった複数の地域から構成されています。それぞれの地域は、独自の特色を持ちながら、調和のとれたコミュニティを形成しています。

人口統計：多様な文化と歴史

1801年当時の総人口はわずか1,937人でしたが、産業の発展に伴い人口は増加を続けました。特に、1920年代から1930年代にかけての住宅開発は、人口急増に繋がりました。2001年の国勢調査によると、総人口は165,500人、男女比はほぼ同数でした。人種構成は、白人が多数を占め、黒人、アジア人、中国人など多様な民族が暮らしています。出身地も、イングランドだけでなく、他のイギリス地域、アイルランド、EU諸国、その他地域と多様性に富んでいます。

議会と政治：地域社会の意思決定

バーキング・アンド・ダゲナム区議会は、17の選挙区から選ばれた51人の議員によって構成されています。2006年の区議会選挙では、イギリス国民党が12議席を獲得し、注目を集めました。

教育：充実した学習環境

バーキング・アンド・ダゲナム区には、多くの学校や成人教育施設があります。バーキング・ラーニング・センターは、資格取得コースや図書館、インターネット環境などを提供する重要な学習拠点です。

交通：便利なアクセス

ハマースミス＆シティ線、ディストリクト線、ロンドン・オーバーグラウンド線が乗り入れ、公共交通機関が充実しています。ロンドンバスも多数運行されており、区内外の移動が容易です。

消防：安全を守る体制

バーキングとダゲナムに消防署が設置され、地域住民の安全を確保しています。

国際交流：姉妹都市

バーキング・アンド・ダゲナム区は、ドイツのヴィッテンとポーランドのトチェフを姉妹都市としています。国際交流を通じて、文化の理解を深めています。

バーキング・アンド・ダゲナム区は、歴史と現代が共存する活気ある地域です。産業発展の歴史、多様な文化、そして将来に向けた再開発計画など、見どころ満載のエリアと言えるでしょう。

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