バーギャシュリー

バーギャシュリー（Bhagyashree）は、1969年2月23日生まれのインドを代表する女優の一人です。彼女はヒンディー語映画を中心に、カンナダ語、マラーティー語、テルグ語、ボージュプリー語など、インドの多様な言語圏で活躍の場を広げてきました。

彼女のキャリアは1987年にテレビシリーズ『Kachchi Dhoop』で幕を開けました。これはルイーザ・メイ・オルコットの小説『若草物語』を原作とした作品です。興味深いことに、彼女はこの番組の監督を務めていたアモール・パレカル氏に対し、急遽降板が決まった女優の代役として自身を起用するよう直談判し、役を射止めたとされています。この出来事が、彼女の女優としての第一歩となりました。

バーギャシュリーが映画界で大きな注目を集めたのは、1989年公開の『私は愛を知った』です。この作品で、彼女は後にスーパースターとなるサルマーン・カーンと共演を果たしました。清純派ヒロインを演じた彼女の演技は批評家から高く評価され、同年のフィルムフェア賞新人女優賞を受賞しました。『私は愛を知った』は興行的にも大成功を収め、彼女のキャリアにおいて最も記念碑的かつ成功した作品として、今なお語り継がれています。

結婚後も彼女は女優活動を継続しました。1992年には『Qaid Mein Hai Bulbul』『Tyagi』『Paayal』といった作品に出演し、特に『Paayal』では夫であるヒマーラヤ・ダサーニー氏と共演しています。1993年には『Ghar Aaya Mera Pardesi』に出演した後、活躍の場をテルグ語映画界にも広げ、現地の作品に多数出演するようになりました。2000年代中盤からは再びヒンディー語映画にも積極的に出演するようになり、『Maa Santoshi Maa』や、アクシャイ・クマール主演の『Humko Deewana Kar Gaye』、社会派作品の『Red Alert: The War Within』などでその姿を見せました。テレビシリーズからは一時的に距離を置いていましたが、2014年から2015年にかけて放送された『Laut Aao Trisha』で再びテレビドラマへの出演を果たしています。

女優としての顔を持つ一方、バーギャシュリーはビジネスの世界でも手腕を発揮しています。夫ヒマーラヤ・ダサーニー氏と共にメディア企業シュリシュティ・エンターテインメントを共同経営しています。また、社会貢献活動にも関心が高く、2015年3月にはマハーラーシュトラ州政府が貧困家庭の女児を経済的に支援するために立ち上げた「バーギャシュリー計画」のブランド大使に任命され、その普及に貢献しました。

彼女はマハーラーシュトラ州サーングリーにルーツを持つ旧王族の家系に生まれました。父ヴィジャイ・シングラオ・マダヴラオ・パトワルダン氏は、かつてサーングリーのマハーラージャを務めた人物です。バーギャシュリーは3人姉妹の長女であり、妹にはマドゥワンティー氏とプルニマ氏がいます。私生活では、俳優であるヒマーラヤ・ダサーニー氏と結婚し、一男一女をもうけています。長男のアビマニュ・ダサーニー氏は映画『燃えよスーリヤ!!』で俳優デビューを果たし、長女のアヴァンティカ・ダサーニー氏はモデルとして活動するなど、子供たちも芸能界で活躍しています。

このように、バーギャシュリーは王族の出自を持ちながら、自らの力で女優としての道を切り開き、様々な分野で成功を収めてきました。デビュー作での華々しい活躍から、結婚、出産を経てなお精力的に活動を続け、多言語映画への出演、ビジネス、社会活動と、多岐にわたるキャリアを展開しています。彼女の歩みは、変化を恐れず挑戦し続ける姿勢を示すものと言えるでしょう。

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