マハーラーシュトラ州

マハーラーシュトラ州：インドの多様性を象徴する地

マハーラーシュトラ州は、インド西部に位置する州で、その歴史、文化、経済においてインドの重要な一部を担っています。州都はムンバイ（旧ボンベイ）で、インド最大の都市の一つであり、経済とエンターテイメントの中心地として知られています。

地理と概要

マハーラーシュトラ州は、アラビア海に面し、南はゴア州、カルナータカ州、東南はアーンドラ・プラデーシュ州、北はグジャラート州とマディヤ・プラデーシュ州、東はチャッティースガル州と接しています。州内にはゴーダヴァリ川やクリシュナ川といった主要な河川が流れ、森林が州面積の約16.47%を占めています。また、アジャンタ石窟群やエローラ石窟群など、ユネスコの世界遺産が点在し、豊かな自然と歴史が共存する地域です。

州は6つの郡と36の県に分かれており、ムンバイの他にナーグプルが冬の首都として機能しています。ムンバイはインドで最も人口の多い都市部であり、経済活動が活発です。

歴史

マハーラーシュトラ州の歴史は古く、数多くの王朝がこの地を統治しました。アスマカ朝、マウリヤ朝、サータヴァーハナ朝、西太守朝、アビラ朝、ヴァカタカ朝、チャルキヤ朝、ラーシュトラクタ朝、西チャルキヤ朝、セウナ・ヤダヴァ朝、ハルジ朝、トゥグルク朝、バハマ朝、ムガール帝国などがその例です。19世紀初頭にはマラーター連邦の支配下に入り、その後イギリスの支配を経て、1960年にマハーラーシュトラ州として独立しました。

また、この地域は、ヒンドゥー教の英雄チャトラパティ・シヴァージーや、独立運動家のマハーデーヴ・ゴーヴィンド・ラーナデー、ロークマンニャ・ティラクなどの偉人を輩出してきました。

語源

「マハーラーシュトラ」という名前の語源についてはいくつかの説があります。最も有力な説は、「マハー（偉大な）」と「ラーシュトリカー（部族名）」の組み合わせに由来するというものです。また、「マハー（偉大な）」と「ラタ（戦車）」から、熟練した戦闘部隊を指すとする説もあります。さらに、「マハー（偉大な）」と「ラーストラ（国）」に由来するとする説もありますが、こちらは現代の学者によって疑問視されています。

経済

マハーラーシュトラ州はインドで最も工業化が進んだ州の一つであり、インド経済に大きく貢献しています。インド全体のGDPの約14%を占め、州内のサービス部門が経済の中心となっています。農業も重要な産業ですが、州の人口の約半分が農業に従事しているにも関わらず、GDPに占める割合は12%程度です。

ムンバイはインドの金融と商業の中心地であり、ムンバイ証券取引所やナショナル証券取引所など、インドの主要な金融機関が集中しています。また、ボリウッドとして知られるインド映画産業の中心地でもあります。2021-22年のGDPは31兆ルピー（約4306億ドル）で、インドで1位となっています。

文化

マハーラーシュトラ州の公用語はマラーティー語であり、ヒンディー語と似ていますが、英語も広く使われています。住民の多くはヒンドゥー教徒ですが、スンナ派、ジャイナ教、キリスト教、シク教、仏教、ゾロアスター教、ユダヤ教など、多様な宗教が共存しています。

近年の出来事

近年では、2008年にムンバイで同時多発テロが発生し、多くの犠牲者が出ました。また、2021年と2023年には集中豪雨による地すべりが発生し、多数の死者や行方不明者が出ています。

行政区分と主要都市

マハーラーシュトラ州は、36の県から成り立ち、6つの郡に大別されます。主要都市としては、ムンバイ、プネー、アウランガーバード、ナーグプル、コールハープルなどが挙げられます。ムンバイは金融都市として、プネーは教育都市として発展しています。

著名な人物

マハーラーシュトラ州出身の著名人としては、クリケット選手のサチン・テンドルカール、歌手のラタ・マンゲシュカルやアシャ・ボスレ、女優のマードゥリー・ディークシトなどがいます。また、インド系日本人の政治家であるプラニク・ヨゲンドラや、インド系アメリカ人の実業家であるアジェイ・バンガもこの州の出身です。

まとめ

マハーラーシュトラ州は、豊かな歴史、多様な文化、そして経済的な発展を遂げているインドの重要な州です。経済の中心地であるムンバイ、歴史的な世界遺産、そしてボリウッドというインド映画の中心地としての側面を持ち合わせています。この州は、インドの多様性と複雑さを象徴する場所と言えるでしょう。

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