バージニア・スクワイアーズ

バージニア・スクワイアーズは、ABA（アメリカン・バスケットボール・アソシエーション）に存在したバスケットボールチームです。その短い歴史は、ABAというリーグの興隆と衰退を象徴するかのようでした。

1967年、ABA結成時にオークランド・オークスとして誕生しました。共同オーナーには、歌手のパット・ブーンも名を連ね、NBAのスター選手リック・バリーを獲得するなど、話題を集めました。1968-69シーズンにはABAチャンピオンシップに進出する躍進を見せましたが、観客動員は伸び悩み、バンク・オブ・アメリカからの借金も増大しました。

チームは売却され、1969-70シーズンにワシントンD.C.へ移転し、ワシントン・キャップスと改称しました。チームカラーは変わらず緑と金でしたが、ロゴは赤、白、青に変更されました。本拠地をワシントン・コロシアムとしたものの、リーグのウェスタン・ディビジョンに所属したため、ロードゲームの遠征距離がリーグ最長となるという問題も抱えました。勝率は5割を超えプレーオフに進出しましたが、1回戦でデンバー・ロケッツに敗れました。

NBAとの統合が噂される中、ボルチモア・ブレッツのオーナーがチームのワシントンD.C.移転を望んでいたことなどから、キャップスはバージニア州ノーフォークへ再移転し、バージニア・スクワイアーズと名称を改めました。主催試合はノーフォークだけでなく、ハンプトン、リッチモンド、ロアノークでも開催されました（ロアノークでの試合は1シーズンのみ）。

1970年8月には、リック・バリーがスクワイアーズのユニフォームを着た写真がスポーツ・イラストレイテッドの表紙を飾りましたが、その直後、バリーはニューヨーク・ネッツへトレードされてしまいます。しかし、チームは1970-71シーズンにイースタン・ディビジョンで優勝し、プレーオフ1回戦でニューヨーク・ネッツを下しました。イースタン・ディビジョン決勝ではケンタッキー・カーネルズに敗れました。シーズンオフには、マサチューセッツ大学のジュリアス・アービングをドラフトで獲得しました。

1971-72シーズンのプレーオフ1回戦ではフロリディアンズを下しましたが、ニューヨーク・ネッツに敗れました。1972-73シーズン終盤には、ジョージ・ガービンとジュリアス・アービングという2人のスター選手がチームを牽引しましたが、プレーオフ1回戦で敗退。経営難のため、アービングを金銭トレードでニューヨーク・ネッツに放出しました。1974年1月には、ガービンもサンアントニオ・スパーズへトレードされ、チームは人気を失い、成績も低迷。人気ヘッドコーチだったアル・ビアンチも解任されました。

最後の2シーズンは15勝69敗、15勝68敗と惨憺たる結果に終わり、選手からは給料未払いで訴えられるという事態も発生しました。そして1976年5月10日、バージニア・スクワイアーズは解散しました。

スクワイアーズは、ABAというリーグの隆盛と衰退、そしてプロスポーツビジネスの厳しさを象徴するチームでした。短い期間ながら、ジュリアス・アービングやジョージ・ガービンといった後のNBAを代表するスター選手を輩出したことは、特筆に値します。

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