バートラム・トマス

バートラム・シドニー・トマスの生涯と業績

バートラム・シドニー・トマス（1892年6月13日 - 1950年12月27日）は、イギリス出身の公務員であり、探検家としても知られています。彼は「ルブアルハリ砂漠」として知られる広大な砂漠地帯を横断した初めての西洋人であり、その経験を通じて多くの史料を残しました。彼の業績は、砂漠地域における生態や人々、文化についての貴重な情報を提供するもので、彼の著作にもその詳細が記されています。

生い立ちと教育

トマスはブリストル近郊のサマセット州ピルで生まれ、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで教育を受けました。彼の学びは、後に彼の探検や研究に大いに役立つこととなります。
トマスはロンドン郵便本局に勤務した後、第一次世界大戦に従軍しました。彼はベルギーでの軍務を経て、1916年から1918年にかけてサマセット軽歩兵連隊に配属され、イギリス委任統治領メソポタミア（現在のイラク）に駐屯しました。ここでの経験が、彼のその後の政治活動や探検の基盤を築いたと考えられます。

政治活動と探検

トマスは1918年から1922年までメソポタミアで政治将校補佐として活動し、その後もイギリスの代表としてトランスヨルダンでの任務を果たしました。彼の探検心は強く、1925年から1932年にかけてオマーンのスルタンの下で財務大臣兼ワズィールとして任命されてからも、様々な砂漠地帯への探検を行いました。

1930年から1931年にかけて、トマスはルブアルハリ砂漠を横断しました。この業績は、彼が最初の西洋人であったことを証明するものであり、彼の探検の際の経験を記録した『Arabia Felix』は、彼の名声を高めることとなりました。
この著作では、彼が遭遇した地域の動植物、住民、文化に関する詳細な描写がなされており、学術関係者や一般読者に多大な影響を与えました。

勲章と影響

トマスはその業績により、1920年に大英帝国勲章（OBE）を授与され、1949年には聖マイケル・聖ジョージ勲章も受けました。彼の著作は、探検家や研究者によって引用されることが多く、特にアラビア半島の歴史的な理解を深めるための重要な資料となっているのです。

また、彼の探検を基に製作された映画『Crossing the Empty Quarter』には、彼が撮影した映像や、ケンブリッジ大学の東洋学図書館から提供された写真が盛り込まれており、彼の業績を視覚的に楽しめる作品となっています。

晩年と遺産

トマスはイングランドに戻り、1950年に故郷である家で亡くなりました。彼の探検、著作、そして歴史的な貢献は、後世にわたっても高く評価されています。バートラム・シドニー・トマスは、ただの探検家ではなく、アラビアの文化と人々についての理解を深めるために尽力した人物として、今も人々の記憶に残っています。

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