バート・ヒンクラー

バート・ヒンクラーの航空の足跡

バート・ヒンクラー（Bert Hinkler）、本名ハーバート・ジョン・ルイス・ヒンクラー（Herbert John Louis Hinkler）は、1892年12月8日にオーストラリアのクィーンズランド州バンダバーグで生を受けた。彼は航空のパイオニアとして知られ、特にイギリスからオーストラリアまでの初の単独飛行や南大西洋の単独横断飛行で著名である。彼は「オーストラリアの孤独な鷹（Australian Lone Eagle）」とも称され、航空史に大きな足跡を残した。

幼少期とキャリアの始まり

ヒンクラーは若い頃から興味を持ち、自ら2機のグライダーを組み立て、海岸で試みるなどして飛行に対する情熱を育んでいった。彼の才能は航空業界の初期の著名なパイオニアであるアーサー・ストーン（Arthur B. Stone）との出会いによってさらに広がり、ストーンのメカニックとして経験を積むこととなった。

1913年、彼はイギリスに渡り、ソッピース・アビエーションで働き始める。この頃から彼のパイロットとしてのキャリアが動き始め、第一次世界大戦中にはイギリス海軍航空隊で軍務に従事した。戦争中は観測手や銃手として活躍し、1918年には兵士としてイタリアの航空戦に参加し、航空機用の銃架を発明するなど、彼の発明家としての一面も表れた。

戦後の挑戦

戦争が終わると、ヒンクラーはサザンプトンのアブロ社でテストパイロットとしての道を歩んだ。オーストラリア政府が初の飛行に対して賞金を提供したことを受けて、彼はその挑戦を試みるが、嵐に見舞われてヨーロッパで墜落してしまう。しかし、彼の情熱は衰えず、1921年にはシドニーからクィーンランドまでの1,370kmの無着陸飛行に成功し、これを皮切りに数々の記録飛行を達成していく。

1928年には、イギリスからオーストラリアまでの単独飛行を成功させ、イギリスを出発したのは2月7日で、2月22日にはダーウィンに到着し、同年2月27日に故郷のバンダバーグに帰還した。この飛行によって、従来28日かかっていた距離を15日半に短縮し、彼は「ハスリング・ヒンクラー（Hustling Hinkler）」と称されるようになった。

誉れと栄光

ヒンクラーの成功は多くの関心を集め、オーストラリア首相との会見や議会でのスピーチを経験することになった。その後、イギリスに戻るとAir Crossを授与され、彼の業績が評価された。

1931年には、デ・ハビランド・プス・モスでカナダを出発し、無着陸でニューヨークに到達。さらに、ジャマイカやヴェネズエラ、ブラジルを経てアフリカまでの南大西洋を単独で横断する飛行を成功させた。この偉業により、シーグレーブ・トロフィーやジョンストン記念賞、ブリタニア・トロフィーなど、数々の栄誉を受けた。

最期

しかし、1933年1月7日、ヒンクラーはイタリアのトスカーナ山地に衝突して命を落とした。当時、彼はオーストラリアまでの飛行時間記録を更新するために挑戦していた。彼の葬儀はムッソリーニによって英雄として執り行われ、Aretino Aero Clubによって記念碑も建立された。バート・ヒンクラーの挑戦と功績は、今なお多くの人々にインスピレーションを与え、航空史における重要な人物として語り継がれている。

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