バーブ教

バーブ教の概説

バーブ教（バーブきょう）は、一神教の流れを汲む宗教であり、19世紀のイランにおいて新興した宗教です。この教派は、アラビア語で「門」を意味する「バーブ」に由来し、1840年代にミールザー・アリー・モハンマドによって始まりました。当初は十二イマーム派シーア派の派遣シャイヒー派から派生しましたが、やがてイスラームの伝統から外れる考え方を持つようになり、その結果、1850年代末に厳しい弾圧を受けることとなりました。その後、バーブ教からバハイ教が発展し、現在もイラン国内にはアザリー派という形で信徒が残っていますが、同国ではバーブ教は違法とされています。

教義と信仰

バーブ教の教義は、シャイヒー派に強く依存していました。しかし、中心的な教義の一つは、終末や救世主の出現、イマームの再臨に関するものでした。教徒たちは、コーランを尊重し、シャリーアを厳格に守るべきだとされていました。この段階でバーブが自らを「バーブ」と名乗ったことが、その後の教義形成に大きな影響を与えました。1848年には彼自身がイマームの再臨を宣言し、シャリーアの廃止を告げることでバーブ教がイスラーム教の枠を超えることに繋がりました。バーブ教徒は、自らの教典「バヤーン」を持ち、独自の信仰体系を築き上げました。

バーブの生涯と歴史

バーブは1819年、イランのシーラーズで商人の家に生まれ、本名はミールザー・アリー・モハンマドです。彼は1840年代に学び、シャイヒー派の影響を受けました。1844年、彼は自らがバーブであると宣言し、影響力を持つ集団の中心人物となりました。「生ける文字」と呼ばれる信徒たちとともに、彼はイラン国内各地で教えを広め、反響を呼びました。しかし、弾圧は避けられず、1848年には逮捕され、最終的には1850年に処刑されることとなりました。

バーブ教徒の抵抗

バーブの処刑に続いて、バーブ教徒は幾度かの蜂起を試みました。1848年のバダシュトの会合では、信徒たちがシャリーアからの離脱を決定し、後の女性の権利に関する教義にも繋がる過激な宣言をしました。この決定は多くの保守派信徒を離れさせる要因となりました。

また、シェイフ・タバルスィー蜂起では、教徒たちが武装し政府に立ち向かいましたが、結果として鎮圧され、バーブ教は変革の道を阻まれてしまいました。さらに1852年のシャー暗殺未遂事件により、バーブ教徒は完全に敵視され、激烈な弾圧を受けることとなりました。このような歴史的背景が、バーブ教の根強い抵抗精神を生み出し、後にバハイ教へと繋がる道を形成しました。

現在のバーブ教

イラン政府の取締りを避ける形で、バーブ教徒の信仰は海を越え、国際的な信者コミュニティへの移行を遂げています。今日でも、約1000から2000人の信者がいるとされ、特にイランを中心とした地域に依存しています。この教派は政治的な弾圧の影響を受け続けながらも、信仰の枠組みを維持しているのです。

まとめ

バーブ教は19世紀のイランにおいて新たな宗教運動として生まれ、急速に成長したものの、厳しい弾圧にさらされる道を辿りました。今日においてもその影響は続き、様々な面で問題視されていますが、信者の間では依然として支持を受け続け、歴史的意義を持つ存在であり続けています。

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