バーベキュー戦争

バーベキュー戦争：スパイク親子の奮闘と、思わぬ結末

[1956年]]、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]カートゥーンより公開された『[[バーベキュー戦争』(Barbecue Brawl)は、トムとジェリーシリーズの中でも特筆すべき作品です。シネマスコープという当時最先端の技術を用いて制作され、オープニングとエンディングカードのデザインも一新されています。

物語の中心となるのは、バーベキューを楽しむスパイク親子です。息子のタイクと共に準備を進めるスパイクですが、その傍らでトムとジェリーの激しい追いかけっこが繰り広げられます。トムはジェリーを捕まえようとしますが、その行動がことごとくスパイク親子のバーベキューを妨害してしまいます。

トムは、ジェリーを追いかけるあまり、何度もスパイクの怒りを買ってしまいます。スパイクの強烈な攻撃を受け、散々な目に遭うトム。ターザンの真似事をしてロープでジェリーを捕まえようとしますが、その作戦もスパイクの妨害によって失敗し、プールに叩き込まれてしまいます。

ようやくトムが姿を消し、平和になったかに思えたスパイク親子。しかし、彼らの目の前で予想外の事態が発生します。なんとアリの大群が、用意していたバーベキューの食材を次々と持ち去ってしまうのです。ステーキを取り返そうとしますが、アリたちはすぐにそれを奪い返します。最後はアリの隊長がラッパを吹き鳴らしながら去っていく様を、スパイク親子は呆然と眺めるしかありませんでした。

本作におけるスパイクの役割は、シリーズ全体におけるトムとジェリーとは対照的です。スパイクは事実上の主役として物語を牽引し、トムとジェリーは中盤を除いて出番が少なく、物語の結末にも関与していません。ジェリーはトムから逃れるため、巧みに木炭やサラダの中に隠れるなど、知略を駆使してトムを翻弄します。

本作は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが製作、脚本、監督を務め、アーヴ・スペンス、ルイス・マーシャル、ケネス・ミューズ、エド・バージが原画を担当するなど、豪華なスタッフ陣によって制作されました。音楽はスコット・ブラッドリー、色彩はテクニカラー、録音はウェスタン・エレクトリックとパースペクタ・ステレオが使われています。背景はロバート・ジェントルが担当し、レイアウトはリチャード・ビッケンバック（ディック・ビッケンバック名義）が担当しています。

日本においては、TBS系および多系列で1964年から1990年にかけて時折放映されました。

『バーベキュー戦争』は、トムとジェリーのいつものドタバタ劇とは一味違う、スパイク親子の視点から描かれたユニークな作品です。予想外の展開と、コミカルな描写が楽しめる、シリーズの中でも記憶に残る一作と言えるでしょう。シネマスコープによる映像美も相まって、見応えのある作品となっています。

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