バーミンガム学派 (経済学)

バーミンガム学派

バーミンガム学派は、1815年にナポレオン戦争が終結し、その結果としてイギリスで発生した経済不況の中から生まれた経済思想の流派です。この学派は、戦争の終結による需要の減少が引き起こす不況を背景に、過少消費が問題の根源であると考えました。そのため、金本位制への反対と共に、積極的な財政政策を通じた完全雇用の実現が目指されました。

この学派の主要な提唱者は銀行家のトマス・アトウッドです。彼は著作の中で乗数効果や収入-支出モデルを提唱し、現在におけるケインズ経済学の先駆けとしての役割を果たしました。また、アトウッドの弟であるマティアス・アトウッドや、ジョージ・フレデリック・マンツなども、バーミンガム学派の重要なメンバーとして名を連ねています。さらに、アーサー・ヤング、パトリック・コルクーン、ジョン・シンクレア卿などの経済学者たちも、学派の活動に何らかの形で貢献しました。

バーミンガム学派の提案は当時の主流から見れば異端とされ、「変わり者」や「露骨なインフレ論者」として批判されることが多かったのです。しかし、彼らの理論には将来の経済学に対する影響が大きく、特に乗数効果や有効需要を理解するための重要な理論的基盤を提供していました。これが後のケインズ主義経済学へとつながっていくことは、学派の意義を示すものと言えます。

バーミンガム学派の理論は、経済活動における需要の重要性を強調し、政府の財政政策の必要性を提唱するものでした。これは特に不況時において、経済が自動的に回復するのを待つだけではなく、積極的な介入が必要であるという考え方を支持するものでした。この事例は、経済政策における考え方に影響を与え、後の経済学の発展に寄与しました。

現在、バーミンガム学派は『有効需要』や『管理通貨制度』といった概念と結び付けて考えられることが多く、経済学史において重要な位置を占めています。また、彼らの考え方はマンチェスター学派との対比においてもしばしば議論されます。このように、バーミンガム学派の思想は、近代経済学の形成において無視できない位置付けを持っているのです。

バーミンガム学派が持っていた思想とその経済政策への影響は、単なる歴史的事象にとどまらず、今日でも経済学の現場で重要視されています。

もう一度検索