バーリン (トールキン)

バーリン（Balin、第三紀2763-2994）は、J.R.R.トールキンの小説『ホビットの冒険』に登場するドワーフであり、エレボール奪還を目指す遠征に参加した13人のドワーフの一人として描かれています。映画『ホビット』三部作では、俳優ケン・ストットが演じました。

出自と背景

バーリンは、ドゥリンの家系に連なるドワーフであり、フンディンの息子、そしてドワーリンの兄にあたります。外見の特徴としては、白く長い髭と、赤い頭巾を身に着けていることが挙げられます。一行の中ではトーリン・オーケンシールドに次ぐ年長者であり、その聡明さから、トーリンからの信頼も厚い存在でした。

『ホビットの冒険』での役割

エレボール遠征において、バーリンは他のドワーフたちと共に様々な困難に立ち向かいます。彼は13人のドワーフの中で最もビルボ・バギンズと親しくなり、友好的な関係を築きました。スマウグによるエレボール襲撃の際、彼はスライン2世やトーリンと共に脱出しており、長年に渡って彼らに忠誠を誓っていました。五軍の合戦後には、オーリやオインらと共にモリア（カザド＝ドゥム）へ赴き、ドワーフの領主としてコロニーを築こうと試みます。

モリアでの悲劇

しかし、モリアでのドワーフたちのコロニーは、ゴブリンや、古代の災厄であるドゥリンの禍（バルログ）によって滅ぼされてしまいます。バーリン自身も命を落とし、その遺体は柩に葬られました。

映画『ホビット』での描写

映画『ホビット』では、原作同様に白髪と白髭を蓄えたドワーフとして描かれています。衣装は赤を基調としたデザインで、一行の中で最年長という設定から、トーリンにとって最も信頼できる助言者としての役割を担っています。伝承や物語に関する豊富な知識を持ち、ビルボに対しても友好的な感情を抱き、ドワーフの中でも特に彼を高く評価していました。弟のドワーリンが武勇に長けているのに対し、バーリンは知略を担当し、戦闘においてはメイス（鎚矛）を武器として使用します。

『ロード・オブ・ザ・リング』における言及

『ロード・オブ・ザ・リング』の第一作『旅の仲間』において、指輪の仲間たちがモリアへ向かう際、ギムリはバーリンとの再会を心待ちにしていました。しかし、彼らがモリアに到着した時には、既にオークやゴブリンによってドワーフたちは全滅しており、バーリンも殺されて柩に葬られていました。ギムリは、バーリンの死を深く嘆き悲しみます。作中、ギムリがバーリンを「cousin（親類）」と紹介する場面があり、日本語字幕では「従兄弟（いとこ）」と誤訳されていますが、実際にはギムリの父であるグローインの従兄にあたります。

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