バーリントン・ノーザン鉄道

バーリントン・ノーザン鉄道：アメリカ西部を駆け抜けた巨象

バーリントン・ノーザン鉄道（Burlington Northern Railroad, BN）は、アメリカ合衆国において1970年から1996年まで活躍した主要鉄道会社です。その歴史は、4つの大規模鉄道会社の合併によって始まりました。グレート・ノーザン鉄道、ノーザン・パシフィック鉄道、シカゴ・バーリントン・アンド・クインシー鉄道、そしてスポケーン・ポートランド・アンド・シアトル鉄道という、それぞれに長い歴史と広大な路線網を持つ企業の統合は、幾度かの試練を経て1970年3月2日に実現しました。長らくミネソタ州セントポールの同一ビルに本社を構えていたこれらの企業の合併は、鉄道史上に大きな転換点をもたらしました。

BNの誕生後も、その規模は拡大の一途を辿ります。1980年にはセント・ルイス・サンフランシスコ鉄道（SLSF）を吸収合併し、路線網はさらに広範囲に広がりました。翌年には、親会社であるバーリントン・ノーザン・インクの本社をワシントン州シアトルに移転。1988年には鉄道事業以外の部門をバーリントン・リソースとして分離し、テキサス州フォートワースに移転させました。この積極的な経営戦略は、BNの成長と発展に大きく貢献しました。

しかし、BNの歴史は長くはありませんでした。1996年12月31日、アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道（ATSF）との合併により、バーリントン・ノーザン・アンド・サンタフェ鉄道（BNSF）として新たな歴史を刻むこととなります。現在、BNSF鉄道はアメリカを代表する鉄道会社として、その事業を拡大し続けています。

広大な路線網：アメリカ西部の主要動脈

BNの路線網は、アメリカ合衆国西部においては最も北を走る路線として知られていました。イリノイ州シカゴを起点に、北西方向へ延びる路線は、ミネソタ州ミネアポリス・セントポールを経由し、ノースダコタ州グランドフォークスへと続きます。そこから西へと進路を変え、モンタナ州、アイダホ州を横断し、ワシントン州スポーケンに至ります。

スポーケンから先は、3つの主要な路線に分岐します。ひとつは、元グレート・ノーザン鉄道の路線で、ワナッチーを経てカスケード山脈を越え、エバレットからピュージェット湾へと至るルートです。もうひとつは、元ノーザン・パシフィック鉄道の路線で、コロンビア川沿いのトリシティズを経由し、ヤキマからカスケード山脈を越え、グリーン・リバー・バレー沿いを通りオーバーンへと至るルートです。このルートは、ポートランドとカナダのブリティッシュ・コロンビア州を結ぶ路線と接続していました。最後のルートは、元スポケーン・ポートランド・アンド・シアトル鉄道の路線で、コロンビア川の北岸を通ってバンクーバーへと至るルートです。

SLSFの吸収合併によって、BNの路線はアメリカ中南部から南東部へと拡大し、より広範な地域をカバーするようになりました。

特徴的な車両と塗装

BNのディーゼル機関車は、特徴的な塗装で知られていました。車体の屋根側4分の1ほどを黒色に、残りの4分の3ほどを「カスケードグリーン」と呼ばれる緑色に塗装。前頭部には白いロゴが配され、視認性を高めるデザインが採用されていました。1985年には、踏切における視認性向上のため、オレンジと黒のストライプの塗装が試験的に導入されました。

保存車両：歴史の証言

BNのロードナンバー1号と2号、元ノーザン・パシフィック鉄道の6700A号と7002号（EMD F9機関車）は、現在も特別列車用として保存されています。イリノイ鉄道博物館が所有し、イリノイ州ユニオンで大切に保管され、当時の技術やデザインを知る上で貴重な資料となっています。これらの車両は、BNの歴史を後世に伝える重要な証言として、今後も保存・活用されていくことでしょう。

BNの歴史は、アメリカ鉄道史における重要な一章です。その壮大な路線網と、特徴的な車両は、多くの鉄道ファンを魅了し続けています。BNSF鉄道へと受け継がれたその精神は、現代の鉄道業界においても重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

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