バーン (単位)

バーン（barn）について

バーン（記号: b）は、原子核物理学の分野で主に使用される面積の単位で、特に核反応の際に重要な役割を果たします。この単位は、1 バーンが 10^-28 m² であると定義されており、これをフェムトメートル平方（fm²）に変換すると、1 バーンは 100 fm²に相当します。したがって、1辺が10 fmの正方形の面積と同等です。

バーンの使用と国際基準

バーナは、国際単位系（SI）においては、2019年以前の文書第8版（2006年版）の中で「その他の非SI単位」として位置づけられていました。このため、使用する際には必ずSI単位との対応関係を示す必要がありました。しかし、2019年以降の国際単位系ではバーンという単位は完全に認められなくなりました。日本においても、計量法上は非法定計量単位に分類されているため、取引や証明には用いられないとされています。

バーンと核物理学

バーンは核物理において、核反応の発生のしやすさを示すための指標となります。この「反応断面積」は、実際には粒子が照射された際の「的の大きさ」を表しており、1 バーンはウランの原子核の断面積にほぼ相当します。この特性から、核物理学者たちの間では非常に広く受け入れられ、使用されています。

バーンよりもさらに小さい単位として、1940年代後半から1950年代にかけて「シェッド（shed）」が使われていました。シェッドの定義は 1 シェッド = 10^-52 m² です。また、核四極子共鳴においては、バーンがこの「的」の概念とは無関係に使われていますが、その値がちょうど良いため、依然として用いられることがあります。

バーンの由来

バーンという単位の名称は、第二次世界大戦中のマンハッタン計画に由来しています。この計画に従事していたアメリカの物理学者であるホロウェイ（M.G. Holloway）とベイカー（Charles P. Baker）が、原子核が示す典型的な断面積を表す暗号名として1942年12月に考案しました。「barn」という単語は英語で「納屋」を意味し、原子核が持つ断面積が「納屋ほども大きな的」という意味合いを持っています。重要なのは、ウラン核の断面積が他の原子核よりも非常に大きいため、この名称が選ばれたことです。当初、この名前を使用することで、核構造に関する研究が秘密にされることが期待されていましたが、最終的には核物理学や素粒子物理学のスタンダードな単位として広まることになりました。

まとめ

バーンは、核物理学における重要な単位であると同時に、その歴史的な背景や元々の命名意図が興味深いことが伺えます。今後、核反応研究や核物理の進展に伴い、この単位の必要性や価値がどのように変化していくのか、注目が集まります。

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