パイパー PA-18

PA-18 スーパーカブ（Piper PA-18 Super Cub）

PA-18スーパーカブは、パイパー・エアクラフト社が製造したプロペラ式の軽飛行機で、1949年に登場しました。その誕生の背景には、軽飛行機の人気を不動のものにした従来機、J-3 カブがあり、これが1937年に発売され、約20,000機が生産されるベストセラーとなりました。J-3の成功を受け、その改良型としてPA-18が生まれたのです。

1. 機体の特徴

PA-18は高翼配置の主翼、尾輪式の降着装置を持ち、基本構造は従来のカブシリーズに準じています。しかし、強化されたフレームや主翼内での2つの燃料タンク、拡大された尾翼などが新たに採用されました。これにより、短距離離着陸性能が飛躍的に改善され、扱いやすい特性を持つ軽飛行機へと進化しました。

また、搭載されるエンジンは、95馬力から150馬力にまで及ぶバリエーションがあり、適切なエンジンを選ぶことで運用目的に応じた性能を引き出します。特に、スチールチューブ構造に布を張った伝統的なデザインのため、全金属製のセスナ機と比べてはるかに安価で、生産コストが抑えられました。

2. 練習機としての採用

スーパーカブは、その取り扱いやすさから様々な軍隊で練習機や連絡機として採用され、世界中にその名が広まりました。1981年に生産は一時終了しましたが、1988年に再開され、わずかに生産が続けられました。本機の総生産台数はおよそ10,216機に達し、現在でも練習機やグライダーの曳航機として人気を博しています。

3. 主な派生型

PA-18スーパーカブの派生型には、様々なエンジン搭載バージョンが存在し、異なるニーズに対応しています。主なものには、次のようなモデルがあります。

• - PA-18-95: コンチネンタル製C-90-8Fエンジン（95 hp）搭載。
• - PA-18-105: ライカミング製O-235-C1エンジン（105 hp）搭載。フラップ付き。
• - PA-18-125: ライカミング製O-290-Dエンジン（125 hp）搭載。
• - PA-18-150: ライカミング製O-320エンジン（150 hp）搭載。
• - PA-18A: 農業用機型、スプレーバーを装備。

4. 世界各国での運用

PA-18は多くの国で採用されており、アメリカ陸軍を始め、オーストリア、ベルギー、ドイツ、イラン、イタリア、日本など各国の軍においても活躍しました。日本では1953年より保安隊に62機が供与され、主にパイロット養成に使用されました。1965年までは陸上自衛隊の主力機としても利用されています。

5. 諸元

PA-18-150の主要な諸元は以下の通りです。

• - 全長: 6.88 m
• - 全幅: 10.73 m
• - 全高: 2.04 m
• - 翼面積: 16.58 m²
• - 空虚重量: 446 kg
• - 最大離陸重量: 794 kg
• - エンジン: アブコ・ライカミングO-320（150 hp） × 1
• - 最大速度: 209 km/h（M0.17）
• - 実用上昇限度: 5,790 m
• - 航続距離: 740 km（最大ペイロード時）
• - 乗員: 2名

PA-18スーパーカブは、そのデザインと性能によっていまだ多くの支持を受けており、航空史に名を刻む名機としての地位を確立しています。

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