パイパー PA-44

パイパー PA-44 セミノールは、アメリカの航空機メーカー、パイパー・エアクラフト社が製造するレシプロ双発の軽飛行機です。主に個人利用の他、民間パイロットの訓練機として世界中で利用されています。

開発と特徴

1976年5月に初飛行を遂げたセミノールは、パイパー社のチェロキーシリーズを基に開発された4人乗り双発機です。特徴的なT字型の尾翼を持ち、エンジンにはライカミング・エンジンズ製のO-360-E1A6DまたはO-360-A1H6（いずれも180馬力）が左右逆回転で搭載されています。これにより、双発機特有の片発停止時の操縦困難さを軽減し、安定した飛行を可能にしています。

1978年2月21日にはPA-44-180として販売が開始され、その後1980年4月24日にはターボチャージャー付きのTO-360-E1A6Dエンジンを搭載したPA-44-180T ターボ・セミノールも登場しました。ターボ・セミノールは、より高い高度での飛行性能が求められる環境で活躍しました。

生産と歴史

初期の生産は1982年末までに合計431機で一旦終了しましたが、1988年に生産が再開されました。しかし、受注が伸び悩んだため、わずか2年で再び生産中止となりました。その後、1995年に生産が再度復活し、現在に至るまで生産が続けられています。

主要諸元 (PA-44-180T)

以下にPA-44-180Tの主要な諸元を示します。

全長: 8.41 m
全幅: 11.77 m
全高: 2.59 m
翼面積: 17.08 m2
自重: 1,116 kg
最大離陸重量: 1,780 kg
エンジン: ライカミング・エンジンズ TO/LTO-360-E1A6D 水平4気筒ピストンエンジン（180馬力）各1基
最大速度: 364 km/h (最適高度)
証明認定高度: 6,095 m
航続距離: 1,519 km
ペイロード: 乗客最大3名
乗員: 1名

これらの諸元から、セミノールは比較的小型ながらも実用的な性能を備えた航空機であることがわかります。

文化的側面

セミノールは、テレビドラマ「ミス・パイロット」にも登場しており、航空業界だけでなく一般の視聴者にもその名が知られています。このドラマでは、セミノールがパイロット訓練の重要な一部として描かれており、航空ファン以外にも親しまれています。

まとめ

パイパー PA-44 セミノールは、その双発エンジンによる安定性、操縦のしやすさ、そして実用性から、パイロット訓練だけでなく、個人利用においても広く利用されている航空機です。数度の生産中断を経験しながらも、現在も生産が継続されており、その人気と信頼性の高さを証明しています。

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