パイプねじ切り器

パイプねじ切り器とは

パイプねじ切り器は、水道、ガス、圧縮空気、油圧機構など、様々な配管に使用されるパイプ（管）のねじ山を切るための手動工具です。この工具は、パイプ同士を接続する際に重要な役割を果たします。

オスタ形とリード形

パイプねじ切り器には、主に「オスタ形」と「リード形」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、適切な工具を選ぶことが大切です。

オスタ形

オスタ形は、本体に4枚のチェーザ（刃物）を取り付けて使用します。チェーザはカムプレート板に取り付けられ、カムプレート板の位置を変えることで様々なサイズのねじを切ることができます。チェーザには1から4の番号とねじの呼び径が刻印されており、1組4枚のチェーザでねじの1ピッチを4等分して切削します。

パイプねじは、1インチ当たりの山数が規格で決まっており、例えば、呼び1/8は28山、1/2と3/4は14山などとなっています。オスタ形は、特に呼び102がよく使われ、1-1/4以下の6サイズのパイプに対応しています。同一ピッチのねじであれば、異なるサイズでも同じチェーザを使用することができます。チェーザの取り付け位置は、本体に表示された目盛りに合わせて調整します。

ねじ切り作業

ねじ切り作業は、まず片手で本体をパイプ端に強く押し付け、もう一方の手でラチェットハンドルを回してチェーザをパイプに食い込ませます。この最初の食い込ませる作業は、ある程度の熟練が必要です。3山程度食い込ませて本体が安定したら、ハンドルを回してねじ切りを続けます。ねじ切り完了後は、偏心ハンドルを操作してチェーザを徐々に広げて外します。この時、急激に偏心ハンドルを操作すると、ねじ山に段差ができ、漏れの原因となるため注意が必要です。大きなサイズのねじを切る場合は、2段階に分けて荒削りと仕上げねじ切りを行うことで、作業を楽にすることができます。

リード形

リード形は、オスタ形よりも小型軽量で、2個1組の刃物を使用します。1つの刃物に2つの刃が付いています。リード形は、1サイズ専用であり、刃のねじ山数が少ないため、必要なねじ山を切るには、刃を深く送り込む必要があります。ねじ切り完了後、刃物を後退させる機能がないため、ハンドルを逆回転させて取り外します。

パイプねじ切り器の歴史と現状

かつては、パイプねじ切り作業は手動で行うのが一般的でしたが、電動のドライブユニットの開発により、作業の負担が軽減されました。さらに、切断、ねじ切り、面取りなどの一連の作業を動力で行うパイプマシン（パイプねじ切り機）が登場し、現在では手動のねじ切り器の使用頻度は減少しました。しかし、配管技能検定の実技試験や、電力の確保が困難な場所での作業のために、手動のねじ切り器は今でも使用されています。

主なメーカー

• - レッキス工業 (REX)

参考資料

• - 全国作業工具工業組合『正しい作業工具の使い方26.配管工具』

関連用語

• - 工具
• - パイプマシン
• - パイプカッタ

もう一度検索