パオロ・ベッティーニ

パオロ・ベッティーニ（Paolo Bettini, 1974年4月1日 - ）は、イタリア・トスカーナ州リヴォルノ県チェーチナ出身の元自転車プロロードレース選手。1997年のプロデビュー以降、数々の輝かしい成績を収め、世界的な名声を確立しました。

輝かしい戦績

ベッティーニは、その長いキャリアの中で、グランツールにおける総合優勝こそないものの、それ以外のほぼ全ての栄冠を手にしました。特筆すべきは、以下の戦績です。

UCIワールドカップ チャンピオン (2002年 - 2004年)
アテネオリンピック 男子個人ロードレース 金メダル (2004年)
ジロ・デ・イタリア ポイント賞 (2005年、2006年)
世界選手権 優勝 (2006年、2007年)
* モニュメントレース 5勝

その積極的なレーススタイルから、「il Grillo（イル・グリーロ、イタリア語でコオロギの意）」という愛称で親しまれました。常に勝利を目指し、果敢にアタックを仕掛ける姿は、多くのファンを魅了しました。

プロとしての道のり

1997年にMG-テクノジムでプロデビュー後、当初はミケーレ・バルトリのアシストとして活動。しかし、徐々にその才能を開花させ、2000年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでの優勝、ツール・ド・フランスでのステージ優勝を機に、マペイの新たなエース候補として注目を集めるようになりました。

2001年には、世界選手権で2位、チューリッヒ選手権で優勝。2002年には、再びリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで優勝し、UCIワールドカップチャンピオンに輝きました。

2003年は、ミラノ〜サンレモ、HEWサイクラシックス、クラシカ・サンセバスティアンと立て続けに優勝。イタリア選手権も制し、2年連続でUCIワールドカップチャンピオンとなりました。2004年もティレーノ〜アドリアティコで優勝するなど好調を維持し、アテネオリンピックでは金メダルを獲得。圧倒的な強さを見せつけました。

2005年は、ジロ・デ・イタリアで初のポイント賞を獲得。ブエルタ・ア・エスパーニャでもステージ優勝を果たし、チューリッヒ選手権、ジロ・ディ・ロンバルディアでも優勝しました。2006年には、ジロ・デ・イタリアで2年連続ポイント賞を獲得。そして、念願の世界選手権制覇を成し遂げました。さらに、ジロ・ディ・ロンバルディアも連覇しました。

マイヨ・アルカンシエルを着用して迎えた2007年は、主要レースで入賞を重ねるものの、優勝はブエルタ・ア・エスパーニャでの1勝のみ。しかし、ブエルタのポイント賞争いを辞退してまで挑んだ世界選手権では、見事優勝。ジャンニ・ブーニョ以来15年ぶり、史上5人目となる世界選手権連覇という偉業を達成しました。

2008年は、ブエルタ・ア・エスパーニャで2勝を挙げるも、同年にライバルとなるステファン・シューマッハーが加入したこともあり、チームとの契約を更新せず、移籍することを表明。そして、世界選手権開催中のヴァレーゼで、現役引退を発表しました。

引退後

2010年には、交通事故で急逝したフランコ・バッレリーニの後任として、イタリアナショナルチームの監督に就任。後進の育成に尽力しました。

レーススタイル

169cm、58kgという小柄な体格ながら、驚異的なパワーを秘めており、「パンチャーに近い登れるスプリンター」と評される脚質で、クラシックレースで圧倒的な強さを発揮しました。特に、ワンデーレースを得意とし、数々の勝利を飾っています。シーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮し、常に最高の状態でレースに臨む体調管理能力も、彼の強さの秘訣でした。

エピソード

ヘルメットやシューズにあしらわれた金色がトレードマーク。過去には、フレーム、バーテープ、ホイール、サドルまで金色に染めたロードバイクに乗ったこともあります。2006年に世界選手権で優勝した直後、兄を交通事故で亡くすという悲劇に見舞われましたが、その悲しみを乗り越え、ジロ・ディ・ロンバルディアで見事優勝。天を指差しながらゴールする姿は、多くの感動を呼びました。

パオロ・ベッティーニは、その輝かしい実績と魅力的なキャラクターで、多くの人々に愛された偉大なロードレース選手として、その名を歴史に刻んでいます。

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