パキスタン (ドミニオン)

パキスタン自治領は、かつて存在したイギリス連邦の自治領であり、現在のパキスタンとバングラデシュにあたる地域をその領域としていました。1947年から1956年まで、立憲君主制の英連邦王国として存続しました。その歴史的背景には、第二次世界大戦後のイギリス帝国の衰退と、イギリス領インド帝国の独立がありました。

インド亜大陸におけるイスラム教徒とヒンドゥー教徒の対立は、非常に深刻な問題でした。この対立は、単一の独立国家を形成することを不可能にし、最終的にはそれぞれの多数派地域による分離独立という形になりました。1947年8月15日、ヒンドゥー教徒が多数を占める地域はインド連邦として独立を宣言しました。同じ日、イスラム教徒が多数を占める地域も、パキスタンとして分離独立を宣言し、イギリス国王を元首とする英連邦王国となりました。パキスタンの初代総督にはムハンマド・アリー・ジンナーが就任しました。

独立当初から、インドとパキスタンの間には激しい対立が存在しました。1948年には、カシミール地方の領有権をめぐり、第一次印パ戦争が勃発しました。国際連合の仲介により停戦に至りましたが、これはその後に続く数々の印パ紛争の序章に過ぎませんでした。両国間の緊張は、その後も長く続くことになります。

1956年、パキスタンは新たな憲法を制定し、パキスタン・イスラム共和国として共和制に移行しました。これにより、パキスタンはイギリス連邦内の共和国となり、自治領としての歴史を終えました。パキスタン自治領の成立と変遷は、インド亜大陸における宗教的、政治的な対立の根深さを物語っており、現代におけるインドとパキスタンの関係にも大きな影響を与え続けています。

関連事項

イギリス連邦
英連邦王国
* パキスタン総督

もう一度検索