パキスタン国際航空

パキスタン国際航空：世界をつなぐ翼と信仰

パキスタン国際航空は、パキスタン・カラチに本拠地を置く同国最大の航空会社です。イスラマバードも主要拠点として、アジア、中東、ヨーロッパ、北アメリカといった世界各地への路線網を展開しています。

安全性と歴史

[パキスタン]]国際航空は、退役したパキスタン空軍パイロットの再就職先として設立された歴史を持ちます。そのため、経験豊富なパイロットが多く、比較的高い安全性で知られていました。しかし、過去には欧州連合]から安全基準に関する指摘を受け、EU域内への乗り入れが一時制限された経緯があります。その後、安全基準の改善を図り、[[2007年にはEU域内への乗り入れが再開されました。


2020年には、パイロット資格の不正取得問題が発覚し、再び注目を集めました。パキスタン政府による調査で、国内のパイロット860人中262人が不正な資格を取得していた疑いがあり、そのうち150人がパキスタン国際航空のパイロットだったことが判明しました。この問題を受けて、EU航空安全機関はパキスタン国際航空のEU域内への乗り入れを6ヶ月間禁止する措置を取りました。

イスラム教色の強い企業文化

パキスタン国際航空は、イスラム教の教えを強く反映した企業文化を持つ航空会社として知られています。飛行前に機長によるコーランの祈りが行われ、乗客全員で安全な飛行を祈願することが慣例となっています。また、機内アナウンスでは「インシャッラー（もし神が望まれれば）」といった表現が用いられるなど、宗教色が色濃く反映されています。一部路線では、乗客へのスカーフ着用を義務付けている路線も存在します。

広範な路線網

パキスタン国際航空は、パキスタン国内の主要都市に加え、アジア、中東、ヨーロッパ、北アメリカなど、世界各地に路線を有しています。


主な就航都市（2016年5月時点）：


パキスタン: カラチ、イスラマバード、ラホールなど多数
アジア: 北京、東京（成田空港、北京経由）、クアラルンプール、ダッカ、デリー、ムンバイなど
中東: ドバイ、アブダビ、リヤド、ジェッダなど多数
ヨーロッパ: ロンドン、パリ、ローマ、オスロなど
北アメリカ: トロント


日本路線については、1969年にダッカから羽田空港への就航を開始。1978年の成田空港開港後は成田空港への乗り入れに変更されました。成田-北京-イスラマバード/カラチ-ラホール間の路線を運航していますが、2019年には一時運航を休止したものの、現在は再開されています。

不動産資産と経営

パキスタン国際航空は、航空事業以外にも、ニューヨークの旧ザ・ルーズベルトホテル(2020年12月廃業)など、海外に不動産資産を保有しています。これらの資産の売却が度々検討されてきましたが、現状では撤回されています。

機材

パキスタン国際航空は、ボーイング777型機などを中心に運航してきました。過去にはエアバスA300、ボーイング737、747などの機材も使用していました。

事故

パキスタン国際航空は、歴史の中で幾度かの墜落事故を経験しています。


1965年5月20日　パキスタン国際航空705便墜落事故
1979年11月26日　パキスタン国際航空740便墜落事故
1992年9月28日　パキスタン国際航空268便墜落事故
2016年12月7日　パキスタン国際航空661便墜落事故
2020年5月22日　パキスタン国際航空8303便墜落事故


これらの事故を教訓に、安全対策の強化に取り組んできましたが、課題も多く残されていると言えるでしょう。

まとめ

パキスタン国際航空は、宗教色と歴史、そして安全面での課題を内包した航空会社です。世界各地への広範な路線網と、独特の企業文化が特徴と言えるでしょう。今後、安全性の向上と持続的な経営が求められます。

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