パシフィック・スパイク

PACIFIC SPIKE（パシフィック・スパイク）

PACIFIC SPIKEは、NSユナイテッド海運が運航するばら積み貨物船であり、世界で初めて150メートルの長尺レール専用に設計された船です。2014年には、日本船舶海洋工学会よりシップ・オブ・ザ・イヤーの大型貨物船部門賞を受賞しており、その革新性と効率性が評価されています。

船の構造と設計

本船の最大の特徴は、約155メートルの長さを持つ単一の貨物倉です。この貨物倉は、最大で2,000本のレールを、一本あたり約10トンの重さで積載できる設計となっています。通常の貨物船は複数の隔壁で仕切られているのに対し、PACIFIC SPIKEは水密隔壁を設けず、船体の強度と安全性を確保しつつ長尺レールの積載を実現しました。

さらに、左舷甲板には50トンのデッキクレーンが3基搭載されており、これらは操作デッキからリモコンで操縦できます。荷役の際、5本のレールを一度に吊り上げることができ、操作の効率性が高められています。特に、1基のクレーンを操作すると残りの2基も連動して動くように制御するシステムは、作業の迅速化に寄与しています。

ファンネルマーク

PACIFIC SPIKEのファンネルマークは、アメリカ国道の標識に似たデザインで構成されています。上段には "LRC"（長尺レール運搬船）という文字、下段にはレールの長さを示す "480"（約146メートル）が記されています。このデザインは、船の役割を直感的に理解できるものになっています。

運航情報

本船は、住友商事の関連会社であるSky Tree Shipping S.A.が所有し、NSユナイテッド海運が運航を担当しています。2014年以降、北九州市の北九州港からカリフォルニア州のストックトン港まで、日本製鉄八幡製鉄所で製造されたレールを輸送しています。2015年の時点では、年6往復の定期便が運航されており、ストックトン港に陸揚げされたレールはユニオンパシフィック鉄道に納品されています。

八幡製鉄所は世界でも唯一、150メートルの長さのレールを製造しており、従来は6分割された25メートルのレールを積載していました。しかし、PACIFIC SPIKEの導入により、150メートルのレールをそのまま輸出できるようになり、この長さのレールが初めて国際輸送され発展を遂げました。国内向けには鉄道網を用いた輸送が行われています。

長尺レールの利点

UP鉄道では、従来の25メートルのレールを溶接し、現場でさらに延長して使用していましたが、150メートルの長尺レールへの切り替えにより、接合部分を6分の1に減少させることが可能となりました。これにより、安全性が向上し、溶接作業やその保守にかかるコストが大幅に削減されると共に、レールの耐久性も向上しています。UP鉄道からは、150メートルレールの導入に対して高評価を得ており、再利用される機会が広がっているのです。

PACIFIC SPIKEは、先進的なデザインと効率的な運用によって、国際的な輸送の新たな基準を築いています。

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