NSユナイテッド海運

NSユナイテッド海運株式会社

NSユナイテッド海運株式会社（英文名称：NS UNITED KAIUN KAISHA, LTD.）は、日本の海運業界において準大手とされる企業です。鉄鋼大手である日本製鉄株式会社と、国内を代表する海運会社である日本郵船株式会社の関連会社であり、これら2社が主要な株主となっています。

概要

主な事業は、海外へ貨物を輸送する外航海運です。取り扱う貨物は多岐にわたりますが、特に鉄鉱石や石炭といった鉄鋼を製造するために必要な原料や、完成した鉄鋼製品の海上輸送を得意としています。このほかにも、液化石油ガス（LPG）などの輸送も手掛けています。2012年時点では、自社で所有する船や他の会社から借りている船（用船）を含めて約100隻の船隊を保有しており、その中心は大量の貨物を効率良く運べるばら積み貨物船と、液体貨物を運ぶタンカーです。

同社の船を見分ける特徴として、ファンネルマーク（船の煙突部分に描かれた会社のマーク）は青い地に「U」の文字が描かれています。これは、前身の一つである新和海運時代の青地に「S」マークから引き継がれた、海運会社としてのアイデンティティを示すものです。

資本構成を見ると、2020年3月末時点では日本製鉄が発行済み株式の約33%、日本郵船が約18%を保有しており、両社ともにNSユナイテッド海運を関連会社としています。これは、同社が日本の基幹産業である鉄鋼業と深く結びついていると同時に、国内有数の海運グループの一員でもあることを示しています。

本社は東京都千代田区大手町に構えています。国内外に事業を展開しており、アジアでは中国・上海やベトナム・ハイフォンに事務所を設けているほか、イギリスのロンドン、アメリカ、中国の香港、シンガポール、そしてフィリピンの5カ所に現地法人を有し、グローバルな輸送ネットワークを構築しています。

沿革

NSユナイテッド海運の歴史は、戦後の日本の海運再建期にさかのぼります。日本製鐵（現在の日本製鉄の前身）の海運部門が財閥解体によって分割された後、その事業を引き継ぐ形で1950年4月1日に日鐵汽船株式会社が設立されました。同時期には、旧満州の海運会社を前身とする東邦海運株式会社も設立されています。

日鐵汽船は1951年1月に東京証券取引所と大阪証券取引所に株式を上場し、企業としての基盤を固めました。その後、1962年2月には日鐵汽船と東邦海運が合併し、新和海運株式会社が誕生します。1964年5月には、国策として進められた海運業界の再編・集約の流れの中で、新和海運は日本郵船の系列会社となりました。

グローバル展開も積極的に進められ、1970年以降、ロンドン、アメリカ、香港、シンガポールに次々と現地法人を設立し、国際的な事業体制を強化していきました。一方、国内では1974年に内航運送事業部門を新和内航海運株式会社（現在のNSユナイテッド内航海運株式会社）として分離独立させています。

2010年10月1日には、同じく外航海運業者であった日鉄海運株式会社と吸収合併し、現在の商号であるNSユナイテッド海運株式会社に社名を変更しました。この合併は、両社の経営資源を結集し、競争力を一層強化することを目的としていました。

その後もグループ体制の見直しは行われており、2015年8月には、ジャスダック市場に上場していたNSユナイテッド内航海運を株式交換によって完全子会社化し、グループ内の連携を強化しました。また、2019年10月には、化学品輸送を担っていた海外子会社の一つを解散するなど、事業ポートフォリオの再編成も行われています。

グループ企業

NSユナイテッド海運グループは、2020年3月末時点で多数の子会社と関連会社を擁しています。全体で64社の子会社と3社の関連会社があり、その多くは保有船舶を他の会社に貸し出す貸船事業や、船舶の運航・管理を代行する事業を主としています。グループの中核をなす主な企業には以下のものがあります。

NSユナイテッド内航海運株式会社: 国内の海上輸送、いわゆる内航海運を専門に行っています。
NSユナイテッドタンカー株式会社: こちらも内航海運事業者ですが、特に化学品などの特殊な液体貨物の海上輸送を担っています。
* NSユナイテッドシステム株式会社: グループ全体の情報システムに関する業務、具体的にはシステムの開発、保守、運用をサポートしています。

これらのグループ会社各々が専門性を発揮することで、多様な海上輸送ニーズに応え、国内外の物流を支えています。

もう一度検索