パスカグーラ

パスカグーラは、アメリカ合衆国ミシシッピ州に位置する都市で、ジャクソン郡の郡庁所在地です。2020年の国勢調査では、人口は約2万2千人を数えます。この都市の名前は、アメリカ先住民の言葉で「パンを食べる者」という意味に由来しています。

パスカグーラは、ミシシッピ州における産業の中心地であり、特にインガルス造船所は州最大の民間雇用主として知られています。この造船所はアメリカを代表する規模を誇り、パスカグーラの経済を支える重要な役割を果たしています。第二次世界大戦以前は人口5,000人程度の小さな街でしたが、大戦中の造船業の発展とともに人口が増加しました。冷戦時代には防衛産業の隆盛によってさらに発展しましたが、1980年頃を境に人口は減少に転じました。しかし、ハリケーン・カトリーナ発生前の数年間は、再び増加傾向にありました。

歴史

パスカグーラの歴史は、造船業の発展と密接に結びついています。第二次世界大戦とその後の冷戦期には、軍事需要により造船業が大きく成長し、都市の発展を牽引しました。

ハリケーン・カトリーナ

2005年8月29日、パスカグーラは非常に強力なハリケーン「カトリーナ」の直撃を受けました。都市の約9割が浸水し、特に沿岸部では住宅の多くが破壊されるなど甚大な被害が発生しました。しかし、メディアの関心がニューオーリンズに集中したため、パスカグーラの被害は十分に報じられず、市民は「自分たちの被害は無視されている」と感じたといいます。また、インガルス造船所では、当時建造中だったアーレイバーク級ミサイル駆逐艦2隻とマキン・アイランドがハリケーンにより損傷しました。

地理

パスカグーラは、パスカグーラ川の河口付近、ミシシッピ湾沿いに位置しています。具体的には、北緯30度21分49秒、西経88度32分31秒（30.363656, -88.542041）に所在します。アメリカ合衆国統計局によると、パスカグーラの総面積は47.2平方キロメートル（18.2平方マイル）で、そのうち陸地が39.3平方キロメートル（15.2平方マイル）、水域が7.9平方キロメートル（3.0平方マイル）を占めています。

人口動勢

2000年の国勢調査によると、パスカグーラの人口は26,200人でした。9,878世帯、6,726家族が居住し、人口密度は666.4人/平方キロメートル（1,726.4人/平方マイル）でした。人種構成は白人が67.15%、アフリカ系アメリカ人が28.97%、先住民が0.18%、アジア人が0.97%、太平洋諸島系が0.02%、その他の人種が1.67%、混血が1.04%となっています。ヒスパニックまたはラテン系は人口の3.89%です。

年齢構成は、18歳未満が26.9%、18歳から24歳が12.0%、25歳から44歳が28.9%、45歳から64歳が20.4%、65歳以上が11.9%となっています。中央値年齢は33歳です。女性100人に対する男性の数は101.8人、18歳以上の女性100人に対する男性の数は100.9人です。

世帯ごとの平均収入は32,042米ドル、家族ごとの平均収入は39,044米ドルです。男性の平均収入は30,313米ドル、女性の平均収入は22,594米ドルです。一人当たりの収入は16,891米ドルです。貧困線以下の人口は、18歳未満が31.4%、65歳以上が13.0%を含め、家族の約18.1%、人口の20.7%です。

UFO事件

1973年10月11日、パスカグーラの埠頭で地元住民のチャールズ・ヒクソンとカルビン・パーカーがUFOに連れ去られたと主張し、この事件は大きく報道されました。この事件によって、パスカグーラは一躍有名になり、アメリカ国民の間でUFOへの関心が再び高まりました。1983年、ヒクソンは『パスカグーラにおけるUFOとの遭遇』という手記を出版し、この事件について詳しく語りました。

出身者

パスカグーラ出身の著名人には、ミュージシャンのジミー・バフェットや、プロ野球選手のスタン・フレイジャーなどがいます。

脚注

外部リンク

City of Pascagoula（英語）

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