パスコ (ワシントン州)

パスコ市：ワシントン州南東部の発展する都市

パスコ市は、アメリカ合衆国ワシントン州フランクリン郡に位置する都市であり、同郡の郡庁所在地でもあります。2020年の国勢調査によると、人口は約7万7千人を数え、ハンフォード・サイト近郊に広がるトリシティズ（パスコ、ケニウィック、リッチランドの3都市）の中心都市として発展を遂げています。

地理と気候

パスコ市は、北緯46度14分19秒、西経119度6分31秒に位置し、総面積は約78.3平方キロメートルです。カスケード山脈の雨蔭に当たるため、年間降水量が少なく乾燥した気候が特徴です。ワシントン州の他の地域とは異なり、夏は高温、冬は低温と、大陸性気候の影響を強く受けます。コロンビア川が市の南部を流れ、隣接するリッチランド市とケニウィック市との境界を形成しています。

歴史

1805年、ルイス・クラーク探検隊がパスコ近郊に宿営したことが記録に残っています。その後、猟師やゴールドラッシュ時代の探鉱者たちがこの地域を訪れ、1880年代にはノーザン・パシフィック鉄道の開通により、開拓民の移住が本格化しました。1891年9月3日、ペルーのセロ・デ・パスコにちなんでパスコ市が正式に設立されました。当初は小さな鉄道の町でしたが、1941年のグランドクーリーダムの完成による灌漑事業によって農業が発展しました。

第二次世界大戦中のハンフォード・サイトの建設・稼働は、トリシティズ全体の急速な発展を促しました。リッチランドとケニウィックの人口が急増する一方、パスコ市は農業を主要産業として発展を続けました。戦後もハンフォード・サイト関連事業による経済効果はトリシティズ全体に及んでいましたが、パスコの経済は農業に大きく依存していました。しかし、1990年代後半からは、ハンフォード・サイト関連事業の新たな好況が予測され、住宅や商業施設の開発が活発化しました。近年では、特にパスコ市の西部地域において、住宅や商業施設が急速に増加しており、この地域は「ウエスト・パスコ」と呼ばれています。

経済

パスコ市近郊には広大な農業地帯が広がり、コナグラ・フーズ、Reser's Fine Foods、Twin City Foodsなどの大手食品企業の本社が置かれています。また、近年はワイン生産が盛んで、Gordon Brothers Cellars、Fidelitas Winery、Kamiak Vineyards、Preston Premium Winesなどのワイナリーが活躍しています。

交通面では、トリシティズ空港が国際線・国内線の旅客便や貨物便に対応し、アムトラック鉄道の駅も市内にあります。コロンビア川とスネーク川を利用した貨物輸送も重要な役割を果たしています。雇用の面では、ハンフォード・サイト、BNSF鉄道、ラム・ウェストンなどの企業が多くの雇用機会を提供しています。

教育

パスコ市には、パスコ教育学区が管轄する学校と、コロンビア・ベイスン・カレッジ、ワシントン州立大学トリシティズキャンパスといった高等教育機関があります。

文化とスポーツ

トリシティ・ダストデビルズというコロラド・ロッキーズ傘下のマイナーリーグ野球チームの本拠地であるGesaスタジアムは、地域住民にとって重要なスポーツ施設です。その他、エドガー・ブラウン記念スタジアムなど、スポーツやレクリエーションのための施設が充実しています。

有名人

パスコ市出身者、またはゆかりのある著名人には、政治家、スポーツ選手、作家、芸術家など様々な分野の人物がいます。例として、プロ野球選手、小説家チャック・パラニュークなどが挙げられます。

まとめ

パスコ市は、歴史と自然、そして近代的な都市開発が融合した活気のある都市です。農業とハンフォード・サイト関連産業を基盤に発展を続けながら、近年は都市化が急速に進み、新たな魅力を生み出しています。今後ますます発展が期待される都市の一つです。

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